日本円ステーブルコインJPYC AZ-COM丸和HDと資本業務提携
日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC(月刊事業構想2026年8月号参照)は2026年7月22日、物流大手のAZ-COM丸和ホールディングス(月刊事業構想2026年1月号参照)と、中長期のDX戦略パートナーシップ構築に向けた資本業務提携を行うことを決定し、覚書を締結したと発表した。JPYCを活用した社内外の決済プラットフォームを構築し、物流の小口決済をブロックチェーンで効率化することで、物流業界が抱える人手不足やコスト高騰といった課題の解決をめざす。
JPYCは、日本円と1対1で交換できる日本円ステーブルコインで、裏付け資産は日本円(預貯金および国債)で保全される。同社は国内の資金移動業者として初めて円建てステーブルコインの発行を手がけた企業で、ブロックチェーン技術を活用した低コスト・高速の送金ソリューションを提供している。
提携の背景には、物流業界特有の決済課題がある。小口決済の回数が多いために、業務委託ドライバーや従業員、取引先への支払いの際に生じる銀行送金手数料と処理時間が大きな負担となっている。AZ-COM丸和HD傘下の一般社団法人AZ-COMネットワークは会員企業数2968社(2026年6月末時点)を擁しており、会員向けの便益向上や物流サービス事業の拡大に伴い、今後は従来以上に多数の小口支払いが発生する見込み。こうしたコスト負担への対応が急務となっていた。
今後、両社はJPYCを活用した社内外の決済プラットフォームを実現する。構築は段階的に進める計画で、まず同プラットフォームを導入し、将来的には決済代行やインセンティブ配布など外部企業向けサービスへの展開を図る。並行してAZ-COM丸和HD独自のウォレットをアプリとして提供し、JPYCを活用したロイヤリティプログラムやキャンペーン(即時報酬付与)を低コストで実現、JPYCを優先的に活用するパートナー事業者の拡大につなげる。
さらに、スマートコントラクトの活用による業務の自動化・高度化も進めていく。GPSや証明書データなどによる配送完了確認と連動した自動支払いを可能にし、請求書照合・承認・振込処理といった人手による業務を大幅に削減する。これにより事務コストの低減に加え、人的ミスや遅延の最小化を目指す。
JPYCは現在、Avalanche、Ethereum、Polygon、Kaiaの4つのブロックチェーンで発行されており、今後もチェーンの拡大を検討している。スマートコントラクトと組み合わせたオンチェーン金融サービスにとどまらず、将来的には給与や報酬の受け取り、ATMを介した現金引き出しなど、幅広いユースケースの可能性があるとする。