QPS研究所、仏マイアスペースと小型ロケットの打上げで基本合意 SAR衛星コンステレーション構築加速

株式会社QPS研究所(福岡市)は、フランスの宇宙企業マイアスペース(MaiaSpace)社と、小型ロケットによる衛星打上げサービスの利用に関する基本合意を締結した。2029年以降、QPS研究所が展開する小型SAR衛星「QPS-SAR」の打上げに、マイアスペースの再使用可能な小型ロケット「Maia」を活用する。

QPS研究所は、2005年に福岡で創業した宇宙開発ベンチャー。九州大学で培われた小型人工衛星開発の技術をベースに、合成開口レーダー(SAR)を搭載した小型衛星「QPS-SAR」の開発・製造・運用を手がける。SARは雲や噴煙を透過し、昼夜や天候を問わず地表を観測できる技術で、同社は北部九州を中心とする全国25社以上のパートナー企業とともに衛星の開発・量産体制を築いてきた。現在は36機を超える衛星による大規模なコンステレーション(衛星群)の構築を進め、地球上のあらゆる地点を準リアルタイムで観測するサービスの実現を目指している。

今回の合意では、2029年以降、専用打上げや相乗り打上げ、補助ペイロードといった複数の打上げ形態と、複数の軌道への投入に対応する。Maiaは、親会社である欧州の宇宙大手アリアングループのもとで開発が進む、欧州初の再使用型・環境配慮型の小型ロケット。液体酸素と液化バイオメタンを推進剤に用い、最大4,000kgを低軌道へ投入できる。オプションのキックステージ「Colibri」を組み合わせることで、単独衛星の打上げから複数軌道への衛星群の構築・補充まで、幅広いミッションに対応する。役割分担として、QPS研究所が衛星の開発・製造・運用を、マイアスペースがロケットの設計・製造・販売・運用を担う。

QPS研究所にとって、コンステレーションの拡張を加速するには、信頼できる打上げパートナーの確保が課題となっていた。同社の大西俊輔CEOは、拡大するQPS-SARデータの需要に応えるために計画を36機超へと拡張したとしたうえで、「柔軟性の高い軌道選択が可能になることで、私たちの衛星コンステレーション構築が力強く加速し、衛星ラインアップの拡充にもつながる」とコメントしている。多様な打上げ機会を確保することで、衛星をより迅速かつ効率的に配置し、準リアルタイム観測を世界規模のインフラへと発展させる狙いだ。

一方のマイアスペースは、今回の契約を、世界の衛星市場における自社の商業展開が着実に進んでいることを示すものと位置づける。同社のYohann Leroy CEOは、再使用型と使い切り型の構成に「Colibri」を加えたモジュール性を強みに、「2030年代初頭までに年間約20回の打上げを実現し、低軌道向け打上げ市場における世界的なリーディングカンパニーとなることを目指す」と述べた。拡大する小型衛星の打上げ需要を背景に、日欧の宇宙企業による今回の連携が、準リアルタイムの地球観測サービスの確立に向けた動きとして注目される。