Z世代のブランド支持理由は「AIレコメンド」と「没入空間」へ二極化

Fiom合同会社(本社:東京都渋谷区、代表社員:竹下洋平)が運営する、Z世代当事者が実態や価値観を分析するシンクタンク「Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)」は、2026年3月31日、全国の18歳から24歳のZ世代300名を対象に実施した「Z世代のイメージが爆上がりしたブランドランキング」の最新調査結果を公開した。第7弾となる今回は、音楽・劇場業界部門の動向を深く考察している。

Fiom合同会社公式プレスリリースより

今回の調査により、Z世代が音楽や劇場ブランドに対して「デジタル上のセレンディピティ(偶然の出会い)」と「オフラインの空間価値」という全く異なる二つの価値を見出している実態が浮き彫りになった。こうした消費行動の二極化は、各ブランドへの支持理由にも明確に表れている。

■音楽・劇場業界部門ランキング

Z世代が「イメージが良くなった」と回答した主要ブランドの順位と支持理由は以下の通り。

1位:Spotify(39%) AIによる高精度なレコメンド機能により、まだ知らない自分の好きな曲を探し出してくれる「音楽発見インフラ」としての地位を確立。

2位:TOHOシネマズ(22%) 設備の清潔さやフードの質を含めた、スマホでは味わえないプレミアムな空間体験。

3位:Apple Music(16%) iPhoneとのシームレスな連携と、リアルタイムの歌詞表示をはじめとする洗練されたUI/UX。

■消費行動に潜む「タイパ」と「没入」の真理

首位を獲得したSpotifyの最大の要因は、音楽アプリを「知っている曲を聴くツール」から「AIによる神レコメンドで未知の音楽と出会うツール」へと転換させた点にある。情報過多な現代において、自力で好きなものを探し出すことに疲弊しているZ世代にとって、個人の視聴履歴を学習して提案するパーソナライズ機能は、圧倒的なタイムパフォーマンス(タイパ)と感動を同時に提供する体験価値となっている。

一方、2位のTOHOシネマズは、Z世代の「スキップできない良質なオフライン体験への渇望」の受け皿として機能している。普段は動画を倍速視聴するタイパ至上主義のZ世代だが、スマホの通知を切り、最高の音響と座席でコンテンツに没頭する「デジタルデトックス」的な贅沢な空間体験に対しては、喜んで高いお金と時間を払う傾向が確認された。このように、同じZ世代の中でも「日常の消費」と「非日常の消費」では求める価値が明確に異なっている。

■Z-SOZOKEN所長・竹下洋平氏の分析

Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)所長でFiom合同会社CEOの竹下洋平氏は、SpotifyとTOHOシネマズのランクインは一見矛盾するZ世代の消費行動の真理を突いていると指摘する。Z世代は日常の消費にはAIを使った圧倒的なタイパとパーソナライズを求める一方、非日常の消費には極上のオフライン体験への投資を惜しまない。

企業がZ世代のエンゲージメントを高めるためには、単に曲数やスクリーン数などのスペックを訴求するだけでは不十分だ。Spotifyのように潜在的な好みをAIで発掘する感動を提供するか、TOHOシネマズのように日常から隔離されたプレミアムな空間体験を設計するか、ターゲットの「オンとオフの切り替え」に深く寄り添ったコミュニケーションを設計できる企業だけが、ブランドイメージを向上させることができる。