3年で小売部門の月商12倍 静岡の総合宝飾品メーカーの成長戦略とは
(※本記事は「協働日本」に2024年8月26日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
協働日本で生まれた協働事例をご紹介する記事コラム。実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。
今回は、株式会社キラガ 常務取締役の太田 喜貴氏にお越しいただきました。株式会社キラガは、創業40年・宝飾品の製造、加工、卸売、小売を行っている総合宝飾品メーカーです。静岡県の富士山の麓にある豊かな自然に囲まれたエリアに、こだわりのジュエリーと開放的な庭を備えた宝石工房を構えています。
コロナ禍で苦境に立たされ、現状打破と改革を目指し始めた頃に参加した講演会をきっかけに、協働日本がマーケティング戦略から人事戦略まで幅広く伴走させていただき早3年目。数々の取り組みを経てキラガの組織が大きく変わってきたといいます。
インタビューを通じて、協働プロジェクトを続けてきたことによる成果、変化や得られた学び、これからの期待と想いについて語って頂きました。
(取材・文=郡司弘明・山根好子)
強みの言語化と、卸売から小売への業態転換、ライブコマースへの挑戦に2年間取り組んだ。
ーー本日はよろしくお願いいたします。御社は協働日本とのお取り組みも3年目になるということで、協働をスタートしたきっかけからここまでの歩みについてお聞きできますでしょうか?
太田 喜貴氏(以下、太田):はい、よろしくお願いいたします。
元々は長く商社に勤めていたのですが、コロナ禍で宝飾品業界全体が業績不信に苦しんでいる状況を両親から聞いたことで、2021年に父が創業した株式会社キラガへ戻り常務に就任しました。
当時、売上もコロナ前と比較して3〜4割減という状況が続いており、どうにか現状を打破しなければという危機感を抱えていました。そんな中、地元の中小企業家同友会の会合で協働日本さんの講演を拝見したことが最初の出会いでした。
ぜひ協働日本さんと取り組みをしたいと考え、2022年4月から自社の理解とマーケティング面での課題を整理するための取り組みをスタートさせました。
初年度はマーケティング戦略、ブランディング戦略を丁寧に言語化。2年目はマーケティング戦略だけでなく、事業全体の方向性、人事戦略まで含めてかなり広いテーマの相談をさせていただくようになりました。
ーーありがとうございます。1〜2年目のお取り組みでの成果や変化についてもお聞きできますか?
太田:はい。宝飾品の卸売りを主業としていたのですが、それだけでは粗利率が上がりづらく、コロナ禍の状況も鑑みて、エンドユーザーへの直販に販路を広げていく方針転換を図ることにしたんです。そこで、協働の始めには「直販の売上を上げるため」の壁打ちをしていただきました。約半年間をかけて、自社の強みの理解、コンセプトの策定、店づくりの強化など、協働プロの皆さんと一緒に議論を重ねたことで、当社にしかない強み「お友達と来てジュエリーで遊ぶことができる空間」を言語化することができました。
そもそもうちのお店では、お客様がいらっしゃったらまず靴を脱いでスリッパに履き替えて頂く。そうやってリラックスした状態で、商品に自由に触って、好きなだけ試着をして頂けるようにしていました。
お買い求めいただく際にもし価格についてのご希望があれば、お客様には「お値段についてもぜひ、ご相談ください」と伝えています。こちらからそのようにお伝えすることで、お客様にとっても安心して商品をお買い求めいただける環境をつくっています。無理なときは無理ですと率直にお伝えしますので(笑)、ぜひお気軽にご相談いただけると嬉しいです。
こうした自由な空間、「ジュエリーで遊ぶ」という体験自体に価値があるのだという気づきは、振り返ると1つの軸になったように思います。
店頭でのコミュニケーションを改善したことも成果に繋がっていますが、改めて言語化できたキラガの強みである「リラックスした状態でお友達とジュエリーを楽しむ」をWeb上でも展開しています。SNS経由でのライブコマースでの販売に力を入れるようになり、高額商品もライブで購入していただけるような機会が増えたんです。
ーーなるほど。卸中心の業態から、直販、そしてSNSとライブコマースへと変わっていったのですね。
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