SMBCグループ、富士通、ソフトバンク 国産ヘルスケア基盤構築へ業務提携
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、富士通、ソフトバンクの3社は、健康・医療分野での業務提携に関する基本合意書を2026年5月18日に締結したと発表した。
患者の同意に基づき医療情報システム内の医療データを安全に管理・利活用するデータプラットフォームと、個人の健康データを掛け合わせて健康パートナーとなるAIエージェントをユーザーアプリで提供する計画だ。またその基盤は、国内データセンター上に構築する。3社は、国民の健康寿命延伸と医療機関の経営効率化、国の医療費抑制を通じて、持続可能な医療の実現に寄与するとしている。
提携の柱は2つ。第一に、医療データを安全かつ適切に管理・利活用するためのデータプラットフォームを整備する。利用者の同意および関係法令・ガイドラインに基づき必要な範囲でデータを連携・参照し、標準化・構造化を進めることで、医療機関や民間事業者との相互連携を可能にする。これにより、AIやデータを活用した高度な臨床実務、革新的な研究開発、医療機関の運営改善などに資するデータ活用の高度化を支援する。さらに、全国医療情報プラットフォームやマイナポータルなどの公的基盤との将来的な連携可能性も視野に入れ、国の医療DX政策との整合性を踏まえた拡張性のある枠組みの実現を目指す。
第二に、AIエージェントを通じて、個人の健康を支援する。日常的な健康管理から医療機関の受診、継続的なケアに至るまでを一体的に支援するAIエージェントを、ユーザーアプリを通して提供する。サポートに必要な医療データや健康データは、ユーザーアプリ内で本人同意を取得し、その同意に基づく範囲で利活用する。また、ヘルスケア事業者や自治体などとの連携により、多様なサービスを一つのアプリで利用できる環境を提供する方針だ。これにより、検査や投薬の重複、通院中断後の重症化、予防可能な疾患やフレイル(心身活力の低下)の進行などに起因する支出を抑制する。将来、予測される医療費の増加の中でも、5兆円規模の費用抑制に寄与すると試算している。
3社の役割分担は次の通りだ。SMBCグループは、提携に基づくサービスの幅広い普及と、ヘルスケアと金融の連携・融合によるサービスの価値向上を担う。普及面では個人向けデジタル金融サービス「Olive」などの顧客接点を活用し、2026年3月にソフトバンクとの提携に基づき提供を開始した「Oliveヘルスケア」をさらに発展させる。融合面では、既に提供している医療機関での後払いサービスの普及に加え、将来的にはお金と健康の両面で安心・安全を提供できるサービスの創出を進めていく。
富士通は、データプラットフォームの構築・管理、医療機関向けAIの構築、医療データを用いた革新的な創薬研究などに必要な次世代計算資源・基盤の開発を主導する。同社は国内医療機関において電子カルテのトップシェアを誇り、カナダCohere社と共同開発した大規模言語モデル「Takane」のラインアップとして展開する医療特化型LLMや、事業モデル「Uvance」における医療データ利活用基盤「Healthy Living Platform」で培ったデータガバナンス基盤技術、ソブリンクラウドの知見を生かす。
ソフトバンクは、「PayPay」をはじめとするグループ経済圏や「LINE」「Yahoo! JAPAN」などの利用者基盤と、ヘルスケア領域における健康増進支援の知見をもとに、ソブリンクラウドおよび国産LLMを活用した国内完結型のユーザーアプリの開発・提供を主導する。
3社は、それぞれの顧客接点などを活用して、国産ヘルスケア基盤の利用を6000万人規模とし、4000の医療機関への導入を目指す。3社共同の取り組みを通じて、企業の積極的な健康経営による従業員のウェルビーイング向上の支援や、生活・公共・決済サービスなどと連携した新たなヘルスケアサービスの創出も検討していくとしている。