電力消費量が膨大な生成AI、利用急増でスコープ3排出量も急増する見込み

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年7月8日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

灰色の大きなデータセンターの建物の前にGoogleのロゴマークの看板
米オレゴン州ザ・ダルスにあるGoogleのデータセンター。そのコロンビア川を挟んだ南岸のザ・ダルスは人口約1万6000人の街だ

2022年11月にChatGPTがリリースされて以来、世界中で生成AI系サービスへの投資、開発、利用が急速に増加している。ある推定によると、AIに使われる計算能力はおよそ100日ごとに倍増している。

この急成長の社会的・経済的影響は世界中で様々な反応を引き起こしている。欧州の規制当局は最近、Metaに対してFacebookやInstagramのデータを用いた生成AIの学習を一時停止するよう要求した。また、国際決済銀行(BIS)は、生成AIの普及がインフレの仕組みを変える可能性があると警告している

しかし、環境への影響についてはこれまであまり注目されてこなかった。生成AIを搭載したチャットボットへの1回の問い合わせは、従来のGoogle検索の最大10倍のエネルギーを消費するとも言われている。

大まかな試算では、生成AIのシステムはこれまでのソフトウェアを使う場合と比べ、約33倍のエネルギーを使用することもある。この膨大なエネルギー需要は、炭素排出量や水使用量の急増につながり、すでに気候変動によって負荷がかかっている電力網にさらに負荷を増大させる可能性がある。

生成AIとエネルギー消費

ほとんどの生成AIはデータセンターのサーバー上で稼働している。AIブームが本格化する前の2023年、国際エネルギー機関(IEA)はすでにデータセンターが世界の電力使用量の1~1.5%、およびエネルギー関連のCO2排出量の約1%を占めていると試算していた。

比較として、2022年には航空業界が世界のエネルギー関連のCO2排出量の2%を、鉄鋼業界が7~9%を占めていた

生成AIの急速な利用増加は、これらの数字にどう影響しているのだろうか。Microsoft、Meta、Googleの最近の環境報告書がいくつかの洞察を提供している。

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