文化概念としての空間「FUDO」を提唱 Japan FUDO Culture Instituteが国際プロジェクト始動

一般社団法人Japan FUDO Culture Instituteは、文化の主体を「モノ」から「空間」へと転換する新しい概念「FUDO」を提唱し、その実践を軸とした国際プロジェクトを開始した。同法人の名称には、自然を耕す「Agriculture」と文化を意味する「Culture」が同じ語源を持ち、「Culture」には社会を耕すという意味が含まれるという認識が反映されている。当たり前に感じている社会や風土を、新たな視点で捉え直し、改めて耕すありかたを広く提案していく。日本の歴史・慣習・空間全体の価値の意味付けから、場の経験の創出と流通の設計までを一貫して手がけながら、日本的な価値観における文化をブランドとして国際発信することを目指す。

「FUDO」とは、気候や土地を意味する従来の"風土"とは異なり、「人間と環境との関係によって成立する場の経験」として定義される独自の概念だ。これまでの文化発信は美術工芸品や建築・食など個別ジャンルのモノや技術を中心に語られてきたが、同法人は日本文化の本質を、それらを取り巻く光と影、音、香り、所作といった形を持たない要素が複合的に作用することで生まれる「空間・時間そのもの」に見出す。プロジェクトでは、この概念の理論的な提示にとどまらず、国内外のアーティスト・建築家・研究者と連携した空間体験プログラムを実践し、文化の枠組みそのものを刷新することを目指す。

同法人は2026年1月に設立。代表理事には東京大学名誉教授で國學院大学教授の社会学者・吉見俊哉氏、理事にはクール・ジャパン官民有識者会議委員を経た吉川稔氏が就任した。文化政策・都市論の学術的知見と、ブランドビジネスや官民連携の実務経験を組み合わせた体制で、概念の構築から国際発信・実践・検証までを一貫して担う。プロジェクトの第一歩として、5月28日には建築家の隈研吾氏とジャーナリストの林信行氏を迎えた第1回シンポジウムを東京・九段ハウスで開催する。

空間体験を文化的価値の中心に据えるアプローチは、個別コンテンツの輸出にとどまらない文化外交の枠組みとして、「場の経験」という切り口から日本文化の価値を国際的に再定義しようとする実践例として、今後の展開が注目される。