ispace、JALグループ4社 月面輸送・運航分野で協業
宇宙スタートアップのispace(東京都中央区、月刊事業構想2023年10月号参照)と日本航空(JAL)、JALエンジニアリング(JALEC)、JALUXの4社は2025年11月28日、将来の月面における持続的な活動を支える輸送システムおよび基盤の構築を目指し、協業に向けた基本合意書を締結した。12月3日に発表した。JALグループの商社であるJALUXが新たに加わり、4社体制で地球と月を結ぶ新たな経済圏「シスルナ経済圏」の構築に向けた検討を加速させる。
今回の合意に基づき、ispaceの月着陸船(ランダー)やその関連設備に対し、JALとJALECが航空分野で培った整備技術や航空管制、運航管理などの知見を活用する。将来の月面生活圏、それを支える輸送機の高頻度な離着陸を支えるシステム・基盤構築の共創を進める。JALUXの参画により、JALグループの一般顧客向け宇宙関連サービスに関する新たな協業も検討するほか、ispaceの月面輸送サービスにおけるペイロード(荷物)搭載枠の販売連携も視野に入れる。
ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んできた。2025年1月にはミッション2の打ち上げを完了し、2027年にはミッション3、2028年にはミッション4の打ち上げを予定している。
JALグループとispaceの協業は2015年に遡る。JALは月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に参加したチーム「HAKUTO」や、日本初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画。ランダー部品やローバー(月面探査車)の航空輸送をはじめ、JALECによる燃料配管の溶接や組立・試験など技術面での支援を行ってきた。