「大気圏再突入・回収技術」獲得を目指すElevationSpace JAXA パートナーに決定
株式会社ElevationSpace(宮城県仙台市)は、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が運営するJAXA スタートアップ支援制度により、JAXA パートナースタートアップとなったことを12月5日に発表した。
ElevationSpaceは、「軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する」をビジョンに掲げ、宇宙環境利用・回収プラットフォーム事業、有人拠点からの高頻度物資輸送事業を手掛けるスタートアップ。小型再突入技術を軸に、宇宙から地球への輸送サービス開発に取り組んでいる。東北大学やJAXAと連携し、宇宙の微小重力環境で研究開発・製造された物資を地球に運ぶ小型宇宙機の開発を進めてきた。
2023年4月より2年間は、J-SPARC(JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ)のもと、JAXAと「地球低軌道拠点からの高頻度再突入・回収事業」に関する共創活動を行っており、JAXAが培ってきた「大気圏再突入・回収技術」の知見について支援を受け、技術検討を進めてきた。また、2025年11月、政府の宇宙戦略基金事業(第二期)において、「高頻度物資回収システム技術」の実施機関として採択された。
JAXA パートナースタートアップになることで、JAXAとの共創や共同研究により生み出された成果や、JAXAの特許を活用する事業などを行うスタートアップとして、JAXAから各種支援を受けられる。同社代表取締役CEOの小林稜平氏は、今後とも引き続きJAXAと連携し、安全で信頼性の高い日本発の帰還技術の確立に挑戦していくとコメントした。
これまで基礎科学的な実験から産業利用まで幅広く利用されてきた国際宇宙ステーション(ISS)は、構造寿命などの関係から2030年末に運用を終了することが決定しており、宇宙環境利用の”場”の継続的な確保が課題になっている。ElevationSpaceは「ポストISS時代」を見据え、フリーフライヤー型の軌道上実証・回収衛星「ELS-R」や、宇宙ステーションからの高頻度回収カプセル「ELS-RS」の提供を目指している。「ELS-R」は、無重力環境を生かした実験や実証を、無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させて顧客のもとに返す国内初のサービスとなる。