オープンイノベーション対決! ソニーvsパナソニック

社内外の知見を柔軟に活用して新たな価値を創出するオープンイノベーションは、産官学の垣根を越えて連携範囲がますます拡大し、多層的になっている。日本経済を牽引してきたソニーとパナソニックの取り組みを分析する。

オープンイノベーションの新たな形を模索

かつての日本の大企業は、自社完結、自前主義の開発体制によって製品・サービスを創造し、世界をリードした。ところが、インターネットやIoT、AIなど先端技術の急激な進展、消費者ニーズの多様化に伴って、自前主義では時代の速度に追いつけなくなり、斬新な発想を持つスタートアップなどとの共創が不可欠となっていった。自社の豊かなアセットを惜しみなく提供し、分野・業種にこだわることなく外部のリソースを積極的に活用、連携することによって新たな価値を創造するオープンイノベーションは、今や日本企業の成長の源泉になりつつある。

家電や映像、通信機器などの分野で世界の先頭に立ち、日本経済を牽引してきたソニー、パナソニックも、柔軟なオープンイノベーション体制のもと、不断の新陳代謝を追求する。

ソニーは2014年、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに「Sony Startup Acceleration Program」 (SSAP)を立ち上げた。アイデア創出から事業育成、組織・人材開発までワンストップでサポートし、共創・伴走するプログラムだ。これまで、ソニーグループ以外へのサービス提供実績は375件に達し、22業種、25件の事業化を実現している。スタートアップの支援はもちろん、京セラ、ライオンとの共創による「音が出る歯ブラシ」の開発・事業化など、大企業連携も含む自在な取り組みが注目される。

CVCとしては「Sony Innovation Fund」(SIF)を設立し、ソニーの知見やノウハウを活かしながら革新的なスタートアップ育成に取り組む。5ヵ国、30名の専門家チームが3つのファンドを通じて、ステージ別に投資し、直近では、生産などの運用計画最適化ソリューションを提供するALGO ARTISなどをサポートしている。

一方、パナソニックは2021年度から、「くらしインフラ」を変革するサービス共創を目的とするプログラム「Panasonic Accelerator by Electric Works Company」を展開する。各事業部門から募ったテーマをもとに、パナソニックエレクトリックワークスの国内外アセットを活用してスタートアップと共創し、事業化まで継続的に支援するプログラムだ。2022年度は温室効果ガス排出量可視化・削減ソリューションを提供するゼロボードなど計9件が採択され、プログラム後も連携を継続している。

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