海外進出、成功のカギは「人」 中堅・中小は「外部人材」に活路

人員・資金などの経営資源が不足しがちな中堅・中小企業が、海外進出で成功するためには、何が必要なのか。アジア各国で現地法人を立ち上げた経験を持つスペシャリストが、成功の秘訣を語る。

日本には素晴らしいモノやサービスがありますが、グローバル化では後れをとっているのが実状です。日本酒とワインの話をしましょう。どちらも醸造酒ですが、世界的な販売量には圧倒的な差があります。

フランスのワインは、初めからグローバル市場を視野に入れて造られています。産地格付け制度やソムリエ制度、赤・白・シャンパンでグラスを変えて提供するといった利用シーンの提案は、すべて世界戦略の一環です。一方の日本酒には、世界に向けて発信するという発想が不足しています。ワインが9000億円も世界で売れているのに、日本酒はわずか90億円で、100分の1にすぎません。

この事例は、日本の中堅・中小企業の海外展開の遅れを象徴しています。現状のままでは、日本に300~400万社あると言われている中堅・中小企業の多くが、今後、破たんしていくのではと危機感を抱いています。

澤木 恒則(JASEAN 代表取締役会長)

ASEAN市場に大きな商機

TPPなどブロック経済の進展で、世界的にヒト・モノ・サービスの自由化が進展しています。2015年末には、ASEAN10ヵ国が経済統合を果たし、ASEAN共同体が発足しました。6億5000万人というEUを上回る巨大市場が、日本からわずか数時間のフライト、時差1~2時間のところに誕生したのです。

これは、日本にとって大きなチャンスです。ASEAN諸国は非常に親日であり、日本人と同じくコメを食べるなど食習慣も近い。私はASEANほど、日本企業にマッチした市場はないと考えています。

日本とASEANの架け橋となり、中堅・中小企業の海外進出をサポートする。そのために私は、2013年、元ソニー社長の安藤国威氏とともに会社を立ち上げ、JASEANと名付けました。

「グローバル人材」の要件とは

かつて、知能指数(IQ)と感情指数(EQ)の高さが優秀な経営者の資質だと言われていました。しかし、海外戦略において最も重要なのは、文化指数(カルチャーインテリジェンス:CQ)の高さです。

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