Coaido、一次救命の助っ人を集めるアプリの実証試験を池袋で開始

Coaido(東京都文京区)は、人が突然倒れてから、救急隊到着までの数分の間の救命処置を行う人を、近隣から集めることができるアプリ「Coaid119」の実証試験を池袋駅半径1km圏内で開始した。当初はアプリ利用者を協力企業の登録のみに限っていたが、2017年11月1日からアプリを一般に公開するにあたり、10月31日に豊島区役所で一般利用者向けのワークショップを開催した。

 

目の前で急に倒れた人に対する一次救命処置は、周囲・全身の観察→意識と呼吸の確認→協力者を求める→119番通報と自動体外式除細動器(AED)の依頼→直ちに心肺蘇生を行う......、と進む。「しかし、現場でこれらのことが適切にできないケースが多く、突然心臓が止まった方の救命率はわずか9%しかない」(Coaidoの玄正慎社長)。Coaido119は、救助者が周囲の協力者を集めるためのアプリだ。アプリを通じて位置情報と現場の映像・音声を協力者に発信するとともに、周囲のAED設置施設の固定電話への一斉連絡と同時に、ダイヤル操作なしで、119番通報も行える。

オフィスや店舗内で意識を失った人が出た場合、声の届かない隣室や上下のフロアには、救命に協力できる人がいるかもしれない。そこで、Coaidoでは、医療系の国家資格所持者や救命講習受講者を、ボランティアのSOS受信者として登録してもらう。SOS受信者は、アプリを経由して「人が倒れた」との連絡が入った時には、チャットなどで連携しながら救命に駆けつける。数人のボランティアが集まり、救急車が到着するまでの間、絶え間なく心肺蘇生を継続し、AEDを使用できれば、倒れた人の救命率を大幅に高めることができる。

 

31日のワークショップでは、Coaido119を用いた一次救命処置のシミュレーションや、AED、心肺蘇生の訓練が行われた。実証試験に用いるCoaido119はiPhone用のアプリで、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県でユーザー登録が可能だ。SOSを発信できるのは、池袋駅から半径1km圏内のみで、池袋周辺の住民や学生、在勤者が想定利用者となる。今回の試験範囲内には、167台のAEDが設置されている。なお、SOS受信者としての登録には、医療国家資格の資格証や、救命講習受講証のアップロードが必要だ。

 

Coaido119は、玄正慎社長がハッカソンに参加したことをきっかけに開発された。2017年3月には経済産業省のIoT Lab Selectionグランプリを受賞している。情報処理推進機構の先進的IoTプロジェクト支援事業の資金を得て、2017年8月から2018年1月まで、豊島区をフィールドに実証試験を実施することになった。豊島区の狙いは、Coaido119により区内に整備したAEDの活用率を高め、救命率の向上につなげること。Coaidoとしては、実証試験を通じて、アプリのビジネス化の第一歩を踏み出したい考えだ。

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