タクシー業界の市場退出が過去最多を更新 2025年度は燃料高と人手不足が直撃
株式会社帝国データバンクの調査により、2025年度におけるタクシー事業者の休廃業・解散(以下、廃業)が累計66件に達したことが判明した。前年度の40件から1.6倍に急増しており、過去最多を大幅に塗り替える結果となった。法的整理による倒産36件を合わせると、市場から退出した事業者は計102件に上る。集計可能な2000年度以降、年間退出数が100件を超えるのは初めての事態だ。
株式会社帝国データバンク公式プレスリリースより
倒産・廃業が相次ぐ背景には、深刻な燃料費の高騰が挙げられる。特にガソリンやLPガスなどの価格上昇が利益を直接的に圧迫し、事業継続を断念するケースが目立つ。2024年度の利益が判明したタクシー事業者の損益動向をみると、純損益ベースで増益となった企業は33.4%に留まり、前年度の41.5%から大幅に落ち込んだ。一方、減益は5年ぶりに2割を超え(25.1%)、赤字企業の割合は4割(40.1%)に達しており、減益と赤字を合わせた業績悪化の割合は全体の6割を超えている。
需要面では訪日客の増加や配車アプリの普及、運賃改定の効果により、観光地や都市部を中心に客単価が上昇しやすい環境が整いつつある。しかし、多くの事業者は深刻なドライバー不足という壁に直面している。乗務員の高齢化による退職が進む一方で、新規採用の目処が立たないため、車両を保有していても稼働できない状況が続く。その結果、深夜帯や観光客の中長距離需要を取りこぼし、距離当たりの売り上げが伸び悩む事業者が多く見られる。加えて、燃料費の高騰と十分な賃上げができないことで、ドライバーの採用・定着がさらに困難になるという悪循環に陥るケースもみられた。
さらに、普及が進むキャッシュレス決済の手数料や、人件費の上昇がコスト増に拍車をかけている。増収であってもコスト増分を吸収できずに減益や赤字となるケースが多発している。資金力のある大手事業者が待遇改善を通じて人材確保を進め、稼働率と客単価向上で売り上げを伸ばしている一方、採用競争で劣位に立つ中小零細事業者の苦境は鮮明だ。効率的な稼働が可能な大手と中小との格差は拡大しており、今後も小規模事業者の廃業が増加する可能性がある。