日立 エレベーター用永久磁石モーターのリサイクル網構築 資源循環を推進
株式会社日立製作所、株式会社日立ビルシステム(日立のコネクティブインダストリーズ(以下、CI)セクター所属)、日和サービス株式会社は、日立製エレベーターのリニューアル工事で交換する永久磁石モーター巻上機のリサイクル網を構築し、12月から運用を開始した。1月13日に発表した。
日立ビルシステムがリニューアル工事で回収した巻上機から永久磁石モーターを取り外し、日立と日和サービスが永久磁石モーターを分解。磁石を取り出すための減磁処理を施す。取り外した磁石は社外の専門メーカーで再資源化され、再生磁石として使用されるほか、銅線や鉄部材なども分離され再資源化される。
永久磁石モーター巻上機のリサイクルでは、現状、モーター総重量で年間80トン程度のリサイクル処理を見込んでいるが、今後エレベーター製品のリニューアル増加により、リサイクル対象は年間650トン程度に増える見込みとなっており、処理能力を増強を図る。加えて、日立グループ内で扱う産業用モーターも新たにリサイクル対象に加え、廃棄物の削減、資源の収量確保、および再生材の需要増加を目指す。
1999年以降に製造した日立製機械室レスエレベーターの巻上機には、永久磁石モーターを採用しているが、エレベーターの法定耐用年数(償却期間)は17年であり、採用初期の製品の多くがリニューアルの時期を迎えている。また永久磁石モーターはエレベーター以外にも電動車や発電機、家電など、幅広い用途で用いられ、今後も多くの分野での需要拡大が見込まれることに加え、環境負荷低減の観点からもリサイクルの強化が求められている。
ところが、ハードディスクドライブや家電用エアコンなどに使用される小型モーターのリサイクルは進んでいる一方、大型の産業機械用モーターは、回収の方法や解体技術の課題から、リサイクルは進んでいなかった。今回日立は、グループ内に蓄積された技術と知見を最大限に生かして、回収や解体のプロセスにおける課題を解決。日立製エレベーターのリニューアルで交換される永久磁石モーター巻上機を回収し、リサイクルする仕組みを構築した。
大型の産業機械用モーターを搭載するエレベーターの巻上機を、日立ビルシステムのサプライチェーンを活用し効率的に回収。そこでは製品納入時の戻り便を活用することで、輸送専用トラックの増便をせず、環境負荷の増加を抑制する。永久磁石モーター巻上機には、ブレーキ装置や綱車といった部品が組み込まれており、効率的に短時間で分解するためには構造理解が不可欠となっている。そのため、日立ビルシステムの水戸事業所に永久磁石モーター巻上機分解専用職場を新設。熟練技術者のノウハウを生かして複雑な機構を素早く分解する。
一方、永久磁石モーターのレアアース磁石は、モーター回転子内に埋め込まれており、取り出す際は減磁処理や固定剤の除去といった資源分離の専門技術が必要だ。家庭用から産業用のレアアース含有製品のリサイクルに知見を持つ日立の水・環境事業統括本部による技術支援のもと、資源分離のノウハウを有する日和サービスが、モーター内部構造に合わせた磁石取り出し技術を開発した。
日立のCIセクターに所属する日立ビルシステムでは、エレベーターやエスカレーターのリニューアルを、最新のテクノロジーを備えたデジタライズドアセットとして進化させ、Lumada 3.0を体現するHMAX for Buildings : BuilMiraiの提供を通じて、メンテナンス品質の向上やオペレーションの効率化を実現させることができる重要な事業と位置付ける。日立グループ内で先行するレアアースリサイクル技術および高度解体技術の導入を支援することで、業界に先駆けて実用化するとともに、CIセクター各社が取り扱う他の産業用モーターにも適用を拡大させ、「地球環境の維持、人々と社会への価値提供」と「日立の持続的成長」を同時に加速させることを狙う。
日立グループは、新経営計画「Inspire 2027」に基づき策定した、サステナビリティ戦略「PLEDGES」における「サーキュラーエコノミー」推進の取り組みの一環として、レアアースなどの循環利用を促進し、環境負荷低減に貢献していく。