NTTドコモビジネスら3社、C2PA技術でフェイク情報検知の実証実験 裏取り作業を15%以上短縮

NTTドコモビジネス株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社Specteeの3社は、総務省が実施する「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」の一環として、デジタルコンテンツの真正性を可視化する国際技術標準規格「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」を活用したフェイク情報対策の実証実験を実施した。

C2PAとは、画像や動画がいつ・どこで・どのデバイスで撮影されたかを証明するためのメタデータ(撮影日時・場所・デバイス情報などの属性情報)を、改ざん検知可能な署名形式でコンテンツに付与し、来歴情報を追跡・検証できるようにする国際標準規格だ。今回の実証では、この規格に基づく三つの技術を開発・活用した。一つ目はGPS情報に加え複数の情報源を組み合わせてメタデータの真正性を確認する技術、二つ目はC2PA準拠の署名をコンテンツに付与する技術、三つ目は検証者が署名・メタデータを視覚的かつ効率的に確認できるツールだ。

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実証は報道・防災分野での活用を想定し、疑似的な選挙演説と自然災害の二つのシナリオを設定。真正性が担保された素材とAIなどで改変した素材を混在させ、検証ツールを用いてコンテンツの真偽を判定するプロセスの有効性を確認した。その結果、裏取り調査にかかる時間が従来比で15%以上短縮されたほか、目視では判別困難な精巧な加工・改ざんコンテンツの正確な識別率が85%を超えることが確認された。

プロジェクトではNTTドコモビジネスが実証事業全体の企画・統括および参画各社の連携調整を担い、NTTドコモがC2PA準拠のコンテンツ真正性担保技術の提供と技術検証・有効性評価を担当した。防災テック企業のSpecteeは災害関連画像コンテンツの真正性確認を受け持ち、株式会社テレビ朝日が報道現場の実務的観点から報道用画像コンテンツの真正性確認に協力した。

フェイク情報・フェイクコンテンツの生成・拡散は近年急速に深刻化しており、特に選挙報道や災害対応といった速報性が求められる局面では、裏取り作業の負荷が正確な情報発信の障壁となっていた。今回の実証は、コンテンツの「来歴」をデータとして担保することで、属人的な確認作業を仕組みで代替できる可能性を示した点で意義がある。3社は今後、今回開発した技術のスマートフォンへの搭載や報道・メディア業界向けのツール提供に向けた社会実装の検討を進める方針で、選挙・災害対応にとどまらず保険業界や個人間取引など、情報の信頼性が問われる幅広い分野への展開も視野に入れている。