米国の地域ファースト型EVカーシェア 電気自動車の間口を広げ普及の糸口に
まだ自分ではEVを購入する予定がない人々にとって、地域ファースト型のカーシェアは持続可能な移動手段を利用できる手頃な方法だ。(※本記事は『reason to be cheerful』に2024年10月28日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
エドウィン・リンド氏は、地域に新しい電気自動車(EV)用充電器が設置されると、自分が住む地域が高騰して追い出される兆候ではないかと感じていた。「再開発によって富裕化が進み歴史的に立ち退きの憂き目に遭った住民たちには、有益なテクノロジーを利用できる機会などないのが一般的です」と同氏は話す。
現在はEV用充電器が2台、リンド氏が共同設立したシアトルのコミュニティ図書館兼書店であるエステリータ図書館の前に設置されている。1台は誰でも使用可能であり、もう1台はEVカーシェア協同組合ZEV(ZEV co-op)が運営するレンタル可能な車椅子対応EV専用で、1時間8ドルで利用できる。
このZEVのEVは、地域住民が教会や病院への移動や校外学習などに利用している。時にはリンド氏がこの車を運転し、食料品を抱えきれない人を乗せることもある。
ZEV(Zero Emissions Vehicleの略を意味する)は、ワシントン州全体で11台の車両を運行している。これは地域ファーストのEVカーシェアという、拡大しつつあるムーブメントの一環である。米国環境保護庁(EPA)によると、運輸分野は国内で3番目に大きな二酸化炭素排出源で、乗用車と小型トラックが排出の57%を占めている。EVは電動化の鍵を握る存在となり得るし、カーシェアはEVをより身近にし、車の個人所有を減らす手助けとなる可能性がある。
税控除や維持費の低さにより、長期的にはEVはガソリン車よりも安価になるが、初期コストが依然として障壁となっている、とリンド氏は語る。「『どうやって生き延びるか』を常に考えている場合、長期的な節約を考えるのは難しいのです」。
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