慶大などJ-PROTECTグループ 精神科オンライン診療は対面診療と同等の治療効果

国内19の精神科医療機関が参加するJ-PROTECT共同研究グループは、複数の精神疾患に対するオンライン診療を用いた治療効果が、対面診療と比較して劣らないことを、国内初の無作為化比較試験(非劣性試験)で明らかにした。2023年12月16日に、Wiley社が発行する学術誌Psychiatry and Clinical Neurosciencesの電子版に掲載される。

J-PROTECT共同研究グループには、慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座(岸本泰士郎特任教授)、大阪医科薬科大学(金沢徹文教授)、京都府立医科大学(中前貴講師)、神戸大学(菱本明豊教授;研究当時は横浜市立大学)、東北大学(富田博秋教授)ほか、総合病院、精神科病院、診療所などが参加している。

うつ病、不安症、強迫症の患者199名が参加した研究で、オンライン診療と対面診療と組み合わせて行った「オンライン診療併用群」と、対面のみで診療を行った「対面診療群」における治療効果を比較した。その結果、主要評価項目とした精神的側面の生活の質(QOL)のサマリースコアについて、オンライン診療併用群は対面診療群に劣っていないことが証明された。治療中止、満足度、疾患の重症度などの副次評価項目についても、両群に有意差は認められなかった。一方、オンライン診療併用群では、対面診療と比較して通院時間が短く、通院費用も安価だった。

オンライン診療の有効性が科学的に立証されたことから、今後のオンライン診療の普及に向けた議論の参考にされることを研究チームは期待している。

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