BeyondUSと新潟大学、燕市で遠隔医療の実証を開始

医療AI・システムの開発を手がけるBeyondUS(新潟市)は2026年9月7日、新潟大学と連携し、新潟県燕市における地域医療DXの実証を開始したと発表した。医師の偏在や高齢化で医療提供体制の維持が課題となるなか、限られた医療リソースを有効活用する手段として遠隔医療の有効性を検証。他地域にも展開可能な「新潟モデル」の確立を目指す。

BeyondUSは2022年6月に設立された企業で、医師の石野公基氏が社長を務める。新潟市を拠点に、遠隔医療基盤「AmaneCare」、医療ナレッジAIプラットフォーム「MONJU」、医療機関向けバックオフィスDXサービスなどの開発・提供を通じて、医師不足や医療アクセス格差、診療科偏在といった地域医療課題の解決に取り組んでいる。

今回の実証は、新潟大学が長年培ってきた地域医療・教育の知見と、BeyondUSの医療AI・システム開発力を組み合わせるもの。実証の舞台となる燕市は、行政と医師会、医療・介護関係機関が連携して地域医療の課題解決に取り組んでいる点が特徴だ。

同市は「転ばぬ先の医療」推進プロジェクトとして、燕市医師会や燕・弥彦医療介護センター、地域包括支援センターなどと連携し、医療・介護提供体制の確保、在宅医療の充実、病院・診療所・介護施設の連携強化などに取り組んでいる。こうした素地を持つ地域を実証フィールドとすることで、地域の医療機関、行政、大学、企業が連携し、持続可能な地域医療提供体制の構築に向けた実装可能なモデルづくりを進める。

実証では主に2つのプロジェクトに取り組む。1つ目は「遠隔医療の実証」で、地域の医療機関や関係者と連携し、限られた医療リソースを遠隔医療基盤を活用して地域内で柔軟に共有・活用する仕組みを検証する。医療アクセスの向上や医療現場の負担軽減といった効果とともに、実際の診療現場における運用上の課題を洗い出す。2つ目は「地域医療DXモデルの社会実装に向けた検証」で、燕市での実証を通じて地域の実情に即したDXモデルの有効性を確認し、他地域への展開可能性を検討する。

BeyondUSは2026年1月に新潟大学と包括共同事業契約を締結しており、今回の燕市での実証はその具体的な取り組みの一つに位置づけられる。同社は実証を通じて、医療リソース共有や遠隔医療支援の実効性、運用上の課題、地域医療現場への適合性を検証し、得られた知見を活用しながら持続可能な地域医療の実現に資する医療DXモデルの構築と展開を目指す。

BeyondUSは実証開始と同じ9月7日、2つの地域ファンドからの資金調達も発表した。エスイノベーションが組成・運営する「地域イノベーションテック新潟1号投資事業有限責任組合」、および第四北越キャピタルパートナーズとTryfunds Investment1号有限責任事業組合が共同で組成・運営する「にいがたサステナブル地域創生投資事業有限責任組合」を、それぞれ引受先とする第三者割当増資による調達で、後者については同ファンドの第1号案件となる。調達した資金は、医療機関へのサービス導入促進、事業開発体制の強化、人材採用などに充てる。