ユナイテッドシルクなど3社、「Smartsilk」商標を核にシルク事業の連携を本格稼働

ユナイテッドシルク株式会社、三共生興株式会社、新菱冷熱工業株式会社の3社は、シルク関連製品のブランド「Smartsilk®(スマートシルク)」を共同で商標登録し、連携を本格的に稼働させた。Smartsilkは、新菱冷熱が開発したスマート養蚕システム「MayuFacture®(マユファクチャー)」で飼育したカイコの繭から作られる製品に用いるブランドで、糸、織物、被服、カバン、化粧品、飲料、食品など15の区分に及ぶ。

MayuFactureは、新菱冷熱が持つ空調(温度・湿度・空気の流れ)の制御技術をベースに、化粧品や食品、バイオ医薬品などの原料生産を目的として開発されたシステムだ。養蚕農家の高齢化に伴って失われつつある日本の高度な飼育管理技術やノウハウを、工業的に再現することを狙う。3社はこの仕組みを土台に、カイコの繭に由来する商品の市場開拓に取り組む。

事業の体制は、各社の強みに応じて役割を分担する。新菱冷熱がカイコの飼育と繭の供給を担い、ユナイテッドシルクがその繭を原料としたシルクパウダーの製造・加工・販売を手掛ける。商品の企画・販売はユナイテッドシルクと三共生興が共同で担当する。

このうち新菱冷熱は、70年にわたって空調設備のエンジニアリングや設計を強みとし、大型のビルや商業施設、工場の建設、特定エリアの冷暖房システム整備などを手掛けてきた企業だ。人を取り巻く室内環境だけでなく、水生生物や昆虫、植物の環境制御に関する研究実績も持ち、その成果の一つがMayuFactureである。同社が空調技術を養蚕に応用したことが、今回の連携で工業的な繭生産を担う基盤となっている。

繊維・ファッション関連事業を主とする三共生興が2024年3月、新規事業の創出に向けてユナイテッドシルクに出資し、2社での業務提携による新事業の検討を開始した。翌2025年1月に新菱冷熱を加え、3社協業による検討会を立ち上げ、新商品の企画・製造・販売や商標登録によるブランディングなどの協議を重ねてきた。新菱冷熱は2025年9月、人工飼料の製造エリアや養蚕エリア、生繭から蛹を自動で取り出す装置を備えた加工エリアからなる「Smartsilk Hub™(スマートシルクハブ)」を、つくば市の同社イノベーションハブ内に整備している。

1920年創業の繊維商社である三共生興にとって、シルク産業は祖業にあたる。今回の連携は、養蚕から原料加工、商品化までを一貫して手掛ける体制を整えることで、国内で縮小してきた養蚕・シルク産業の担い手や技術を維持し、化粧品や食品といった新たな用途へと広げる「新蚕業(しんさんぎょう)」の創出を目指す取り組みと位置づけられる。