富士ソフト、「オファリング型」への転換を宣言

富士ソフト株式会社は2026年4月27日、2026年度から始動する新経営体制と組織改革の全体像を発表した。代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの室岡光浩氏は同日の発表会で、AI・IT・OT(Operational Technology)を統合し、止められない社会・産業システムをエンドツーエンドで担うSIerへの脱皮を打ち出し、一連の変革を「富士ソフト Gen.2」と位置づけた。

代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの室岡光浩氏

最も力点が置かれたのは、受託・スクラッチ開発中心のモデルから、自社の強みを型化して再現性高く展開する「オファリング型」への転換である。同社が強みとするITとOTの統合力を活かし、モビリティやスマート工場など「AIだけでは完結しない領域」に深く入り込むオファリングを軸に据え、フロー中心からストック型への事業構造シフトを目指す。生成AIの進展でSIerには単なる開発・運用の受託ではなく、経営変革や事業成長に伴走するパートナーとしての役割が求められている、との市場認識が背景にある。

もう一つの要諦が、企業理念の再構築だ。創業以来培ってきた「富士ソフトの精神」を核に、時代に合わせて再定義した新理念「社会の発展とお客様の価値創出に寄り添う、かけがえのない存在であり続ける」を提示。これを単なる標語ではなく、戦略・組織設計・評価・登用までを貫く意思決定基準に直結させると明言した。

組織面では、従来の9事業本部を「組込/制御」「社会インフラ」「ソリューション」の3ビジネスユニット(BU)に再編し、各BUにP/L責任を持たせて成長の実行力を高める。これに加え、CEOを中心に2名のCo-COOとCRO、CMO、CHRO、CAO、CTO、CFOなどからなるCxO体制を整備。BU横断での戦略策定・実行、データドリブン経営、投資判断の迅速化、標準化を推進する。「縦で稼ぎ、横で鍛え、中央で回す」をキーワードに、BUによる事業推進とCxOによる横断機能を掛け合わせるクロスマトリクス経営で、グループ全体のシナジー最大化を図る。

人材戦略では、量から質への転換が明示された。過去約8年は毎年約800名規模の新卒採用を続けてきたが、今期は新卒採用を半分程度に絞り込み、AI人材や高度専門人材の育成・登用を加速する方針だ。財務目標としては、2028年度に調整後営業利益500億円以上を掲げる。2025年12月期の調整後営業利益(約240億円)から実質倍増を意味する水準である。

就任以来、約200社以上の顧客経営層との対話を重ねてきた室岡CEOは、伴走パートナーとして「かけがえのないオンリーワンの存在」への進化を掲げる。富士ソフトは2026年度を「変革の基盤構築フェーズ」と位置づけ、事業戦略・技術戦略・人財戦略の詳細を年間を通じて段階的に開示していく構えだ。