応用地質、企業向け防災・危機管理の提案を強化 「OYOフェア2026」で代表取締役社長の天野洋文氏が事前防災への考えを語る
応用地質は、地質調査を起点とする技術を基盤に、企業向けの防災・危機管理提案を強化する。10月22日・23日に室町三井ホール&カンファレンス(東京都中央区)で開催された「OYOフェア2026」では、従来の建設業界や自治体に加え、幅広い業種の企業に向けたBCPソリューションの展示を拡充した。開催前日の21日、代表取締役社長の天野洋文氏が囲み取材で展示の狙いと事前防災への考えを語った。
OYOフェアは1974年に「地質調査機器展」として始まり、50年以上続く。当初は調査機器を展示し、来場者の助言を技術改良に生かす場だった。天野社長は、複雑化する社会課題を応用地質グループ1社で解決することは難しくなっていると指摘し、現在は多様な知見を集め、最適解をつくる場へと変化していると説明した。今回は従来の建設系企業と自治体を中心とした来場者層に加え、企業向け防災・危機管理サービス「OYONAVI」を中心とするBCPの展示スペースを拡充。業種を問わず幅広い企業に訴求することが狙いだ。 
地中レーダーを用いた幹内部の腐朽診断のデモ。内部が空洞化した幹のサンプルに機器を当てるだけで、木を傷つけずに内部の状態を調べられる
今回のテーマは「未来に備える」。「防災・減災ソリューション」「気候変動リスク適応」「インフラ健全性マネジメント」の3エリアで、災害リスクの把握やインフラ維持管理を支える技術を紹介する。SAR衛星画像解析や斜面・浸水を監視するハザードマッピングセンサーに加え、観測データや気象情報、カメラ映像などを一元管理する統合モニタリングシステム「OYO-IMS」も展示する。同システムは10月15日に提供を開始したもので、現場状況の迅速な把握と意思決定を支援する。展示には社会実装済みのサービスから企画段階の技術まで含まれ、来場者の率直な意見を次のサービス開発につなげる考えだ。他社との技術連携も今回の特徴だ。天野社長は、観測データを届けるうえで通信も重要なインフラだと説明した。会場には、KDDIの衛星通信「Starlink Business」、JX通信社のAIリスク情報サービス「FASTALERT」、日本気象協会のバードストライク監視システムなど、協賛8社が出展した。
事前防災について天野社長は、昨年来掲げる「国土の常時計測」の構想は変わっていないと述べた。千葉県市川市では約5年にわたり冠水センサーの実証実験を続けており、冠水時にアラートを発する簡易なセンサーでも避難判断に役立つとした。また、光ファイバーセンシングについては、道路下や道路近傍に敷設された光ファイバーを活用し、道路の状態変化を広域かつ継続的に把握できる可能性があるとの見通しを示した。予算制約の中ですべてをハード対策で守ることはできず、常時モニタリングで情報を発信し、受け手が自分事として避難などを判断できるようにする仕組みが、ハード対策を補う事前防災の要になるとの考えだ。11月2日には事前防災を重点に掲げる防災庁が発足する。
地質を読み解く技術を基盤に、災害リスクを常時把握し、被害の軽減につなげる仕組みへ。応用地質は、他社の通信・情報技術と組み合わせることで、その備えを建設業界や自治体の枠を越えて幅広い企業に広げようとしている。