祭りの後も神田へ カレーグランプリで2000円使うと東京メトロ1回分無料、TOPPAN・東芝ら実証実験

TOPPAN株式会社、神田カレー街活性化委員会、株式会社東芝の3者は、イベント独自の電子マネー「神田カレーPay(ペイ)」と、東芝が提供する交通チケットのオープン化プラットフォーム「どこチケ」を連携させる実証実験を始める。「神田カレーPay」の利用者に東京メトロのQR乗車証を提供し、イベント当日の盛り上がりを一過性で終わらせず、東京・神田エリアへの再来訪と店舗回遊、消費の継続につなげることを狙う。QR乗車証の利用期間は2026年11月2日から2027年1月31日までとする。

QR乗車証は、2026年10月31日・11月1日に小川広場(千代田区)で開かれる「第14回神田カレーグランプリ決定戦2026」の会場で、「神田カレーPay」を合計2000円以上利用した来場者に配布する。東京メトロ全線で1回利用でき、各日先着200名、2日間で最大400名を予定する。背景には、前回の第13回で発行残高の約87%が会期中に使われた一方、会期終了後の利用は約6%にとどまり、イベントの集客を会期後の街のにぎわいへ波及させにくかったという課題がある。3者は、交通費の負担を軽くする「移動のきっかけ」を用意することで、来場者がイベント後に改めて神田を訪れ、複数の店舗を巡る行動を後押しできるとみる。

実証の目的は、決済と交通という2つの接点を組み合わせたマーケティング手法が、地域への送客にどこまで有効かを見極めることにある。3者は検証項目として、QR乗車証の提供が再来訪の意思決定や実際の行動にどう影響するか、QR乗車証で訪れた人が加盟店の利用や複数店舗への来店につながるか、そしてこれらの利用データを送客や来店促進の施策づくりに生かせるか——の3点を掲げる。単発のイベントで終わりがちな地域の集客を、データに基づいて継続的な来訪と消費に結びつける道筋を探る狙いだ。

「神田カレーグランプリ」は、神田のカレー店を食べ歩くスタンプラリーと、予選を勝ち抜いた店舗による決定戦で構成するカレーの祭典。「神田カレーPay」はTOPPANが発行するイベント独自の電子マネーで、遊び予約サービス「アソビュー!」を通じて販売している。

実証の推進にあたっては、TOPPANが「神田カレーPay」の発行と実証全体の統括、検証結果の分析・評価を担う。神田カレー街活性化委員会はグランプリの主催と実証に関わるキャンペーンの告知を、東芝は「どこチケ」を用いたQR乗車証システムの提供と乗降データの取得・分析を受け持つ。「どこチケ」は、交通乗車券をデジタルのQR乗車券として発行・管理する基盤で、交通事業者以外の企業も自社サービスと組み合わせて使える点が特徴となる。

決済と交通を組み合わせて人の流れをつくる手法は、来訪のきっかけづくりが課題となる地域の集客施策に広く応用できる余地がある。「どこチケ」はこれまでも映画イベントやスポーツ観戦などと組み合わせて使われており、交通事業者以外の企業や団体が自社の企画にQR乗車券を組み込める。移動と消費を一体で設計できるこの仕組みは、商店街のにぎわいづくりや観光地の周遊促進など、神田以外の場面にも横展開しやすい。3者は、今回得られる利用データや知見をもとに、QR乗車証の配布条件や利用期間、加盟店への案内方法を見直し、継続的な送客の仕組みづくりを目指す。TOPPANと東芝は、他のイベントや地域の商業団体への展開も検討しており、交通と消費を結ぶ地域活性化の手法として育てられるかを見極めていく。