ゼンリン、Preferredと業務資本提携 地理空間情報とAIで新サービス共同開発へ

ゼンリンとゼンリンデータコム、AI開発のPreferred Networks(PFN、東京都千代田区)の3社は、2026年10月29日、業務資本提携契約を締結したと発表した。時間軸を持つ高精度な地理空間情報とAIを組み合わせ、現実世界の把握から将来予測、意思決定支援までをつなぐ新サービスの創出と事業化を目指す。

契約に基づき、ゼンリンとゼンリンデータコムはPFNが実施する第三者割当増資を引き受け、サービスの企画・開発から事業化まで中長期で協業する。提携では、土地や建物、道路などの属性や空間的な関係、時間的な変化をAIが扱いやすい形に構造化・体系化する「AI-Ready化」を進め、地理空間情報を活用したAIモデルの開発や業界・業務特化型AIサービスの事業化、共通技術基盤の構築に取り組む。

ゼンリングループは長年、現実世界を継続的に調査・更新して地理空間情報を整備しており、そのデータには現在の状況だけでなく、街や地域が過去からどう変わってきたかという「変化の履歴」も含まれる(月刊事業構想2026年2月号参照)。PFNは、AI半導体や計算基盤、生成AIの基盤モデルからプロダクトまでを自社で一貫開発し、さまざまな産業の現場にAIを実装してきた実績を持つ。

3社の役割分担は以下の通り。ゼンリンが地理空間情報や顧客・業界の知見、顧客接点を生かしたユースケースの具体化と事業化、ゼンリンデータコムがGISやAIの知見を生かしたサービス・システムの企画から開発、運用までを担う。PFNは生成AI、フィジカルAI、画像・3D空間認識、予測・最適化などの研究開発力を生かし、地理空間情報を理解・推論するAIモデルの開発と高度化を担当する。

初期の重点領域には公共、不動産、小売・流通を据え、地域の変化や施設需要の予測、店舗の出店計画・適地選定、都市計画や防災、物流のシミュレーションといったユースケースを検討する。実証実験やサービスの共同開発を進め、成果を企業や自治体の意思決定を支援するサービスとして事業化する。

ゼンリンの竹川道郎社長は、生成AIや大規模言語モデル(LLM)を自ら開発するPFNの技術とゼンリングループの情報資産を掛け合わせ、新たなサービスを生み出すとし、今回の提携がグループの持続的な成長をけん引するとの考えを示した。