【10月30日赤澤亮正経済産業大臣会見要旨】冬の電気・ガス料金支援を1カ月前倒し

赤澤亮正経済産業大臣は2026年10月30日、閣議後記者会見を開いた。赤澤大臣は原子力経済被害担当、GX実行推進担当、産業競争力担当、中東情勢に伴う重要物資安定確保担当、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)を兼ねる。会見では、燃料油価格の激変緩和措置について、12月以降は基準価格を毎月5円ずつ引き上げることを基本に対応すると説明した。このほか、12月から2月までの電気・ガス料金支援、冬の省エネの呼びかけ、「三陸・常磐ウィークス第6弾」の実施について説明した。質疑応答では、クールジャパン機構の中間整理、中部電力への業務改善命令に向けた手続き、シーメンスエナジー社との浮体式洋上風力に関する協力などについて答えている。

燃料油の基準価格、春先へ毎月5円引き上げ

燃料油価格の激変緩和措置について、赤澤大臣は前日の29日に高市早苗内閣総理大臣が発表した方針に沿って説明した。この措置はあくまで急激な値上がりを和らげるためのものであり、政府は来年4月以降の飲食料の消費税率引き下げなどにより、物価高対策を切れ目なく講じる考えだ。そのうえで12月以降は、原油価格の動向を注視しながら、春先に向けて基準価格を毎月5円ずつ引き上げることを基本に対応する。

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赤澤大臣は、持続可能な制度へ円滑に移行するにあたり、国民生活や経済活動への影響に十分配慮すると述べた。あわせて、この措置に必要な基金の規模を確保するため、同日の閣議で中東情勢等対応予備費から1兆1459億円を燃料油の激変緩和対策のための基金に充てることを決めたと明らかにした。

1・2月を重点化、標準家庭で7,000円程度軽減

電気・ガス料金の支援は、冬場の暖房需要の高まりを見据え、昨冬より1カ月前倒しして12月から2月まで実施する。電力使用量がピークとなる1月と2月の支援を重点化するのが特徴だ。

支援額は、主に家庭向けの低圧の電気料金で1キロワット時あたり12月1円、1月4.5円、2月4.5円となる。主に中小企業が利用する高圧の電気料金は同じく0.5円、2.3円、2.3円とし、ガス料金は1立方メートルあたり4円、18円、18円を支援する。これにより標準的な家庭では、12月から2月までの3カ月間で、電気・ガス合わせて7,000円程度の負担軽減につながるという。3月分は、気候やエネルギー価格の動向を見極めたうえで対応を検討する。

省エネ呼びかけ、断熱窓など後押し策も周知

資源の乏しい日本では、エネルギー安全保障や脱炭素の観点から、エネルギー需要が増える冬に毎年省エネを呼びかけている。今年も国民生活や経済活動に支障のない範囲での取り組みを求め、光熱費や燃料費の具体的な節約効果を紹介しながら協力を呼びかける。企業の省エネ設備投資や、家庭の断熱窓、高効率給湯器への支援策もあわせて周知し、日本が強みとしてきた省エネを後押しする方針だ。

三陸・常磐ウィークス第6弾、11月1日から

三陸・常磐地域の水産業などの本格的な復興を後押しするため、11月1日から12月6日まで「三陸・常磐ウィークス第6弾」を実施する。三陸・常磐ものの魅力を発信し、消費拡大を促す取り組みである。母体となる「魅力発見!三陸・常磐ものネットワーク」は、経済産業省、復興庁、農林水産省が2022年12月20日に立ち上げた官民連携の枠組みで、参加企業による社員食堂でのメニュー提供やお弁当の購入などを通じて消費拡大を図ってきた。2025年11月に開催された第5弾では、約38万3000食が提供された。

政府としても、各省庁で三陸・常磐ものを使ったお弁当や水産加工品を積極的に購入する。赤澤大臣は、自らもお弁当を味わって発信することで、応援消費をさらに広げたいと語った。

クールジャパン機構の中間整理、指摘を受け止め

質疑応答では、株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)について質問が出た。同機構は、日本の生活文化の特色を生かした商品やサービスの海外需要開拓を支援する官民ファンドで、2025年度末(2026年3月末)の累積損益は540億円の赤字となった。累積損益が目標額を下回ったことを受け、経済産業省は同機構の検証を行う有識者の検討会を設けており、10月27日にその中間整理が公表された。

中間整理は、政策性と収益性を両立しきれなかった要因に焦点を当て、主要な論点ごとに整理している。赤澤大臣は、いずれの指摘も受け止めると述べた。最終的な取りまとめに向けては、今後の機構のあり方を含め、他の機関との統合または廃止を前提に具体的な道筋を検討するという政府方針のもとで、徹底的な議論を求めた。経済産業省は、年内をめどに取りまとめを行う予定としている。記者からはコンテンツ産業政策への影響も問われ、赤澤大臣は中間整理から学ぶべき点は多いとして、今後の政策に最大限生かす考えを示した。

中部電力に業務改善命令へ、手続き開始

続いて記者は、中部電力を巡る対応を取り上げた。中部電力株式会社は10月29日、3件の不適切事案について、経済産業省の報告徴収命令に対する回答を提出している。1件目は、浜岡原子力発電所3号機・4号機の新規制基準適合性審査で、地震動の評価を不適切な方法で実施していた事案である。2件目は、同発電所1号機・2号機の解体撤去工事に関する、使用済燃料再処理・廃炉推進機構への実施報告・費用請求の不適切事案だ。3件目は、中部電力ミライズ株式会社が2024年2月6日付で変更届出を行った特定小売供給約款の単価設定が誤っていた事案となる。1件目と3件目は電気事業法第106条第3項、2件目は原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律第70条第1項に基づき、報告が求められていた。

赤澤大臣は、中部電力で不適切な事案が相次いで発覚したことを「遺憾の極み」と述べた。経済産業省は回答を精査し、同社の改革が抜本的かつ十分なものとなり、確実に実行されるよう最大限に対応する。具体的には、電気事業法に基づく業務改善命令を早期に出すため、行政手続法に基づく手続きを10月30日付で開始した。

シーメンスエナジー社と浮体式洋上風力で連携

洋上風力発電について問われた赤澤大臣は、経済産業省とシーメンスエナジー社が10月28日に協力することで合意したと説明した。経済産業省が29日に発表した内容によると、両者は浮体式洋上風力等に関する協力覚書に署名し、日本における浮体式洋上風力事業の実現や、産業基盤強化に向けたサプライチェーンの発展、専門人材の育成で協力する。この合意に基づき、シーメンスエナジー社は、アジア初となる戦略的なオペレーションメンテナンス拠点を北海道に設置することを発表した。

赤澤大臣は、この協力を洋上風力のサプライチェーン構築や人材育成に最大限生かし、国内の産業基盤の構築に引き続き取り組むと述べた。