【10月30日藤井比早之総務大臣会見要旨】相次ぐサイバー攻撃、NICTとの取り組み強化

藤井比早之総務大臣は2026年10月30日、閣議後記者会見を開いた。藤井大臣は内閣府特命担当大臣(地方創生)、地域未来戦略担当、副首都整備等推進担当を兼ねる。会見では、首長が意識不明となり近い将来の回復が見込めない場合に、地方自治法と公職選挙法の上で「長が欠けた」と解して差し支えないとする助言通知を、同日付で出す予定だと明らかにした。このほか、ふるさと住民登録制度のシステム利用申請の受付開始、国際電話を悪用した特殊詐欺への対策の検討開始、地域未来戦略推進担当官の発令について説明した。質疑応答では、サイバー攻撃への緊急対策、通信事業者への接続遮断の要請を巡る報道、副首都法の施行後の進め方などについて答えている。

冒頭では、閣議で労働力調査の結果を報告したことにも触れた。2026年9月の完全失業率は季節調整値で2.4%となり、前月から0.1ポイント低下した。

八郎潟町の事案受け、助言通知を発出へ

秋田県八郎潟町では2026年2月、前町長が意識不明となった。町議会は5月、「苦渋の選択」として不信任決議を可決している。

この事案を受け、6月には八郎潟町と町議会から、7月には鈴木健太秋田県知事から国に問題提起があった。全国知事会からも、首長が意識不明などで意思表示ができない場合に、議会による不信任以外の方法で退職が認められるよう、必要な制度の整備を求める要望が寄せられた。林芳正前総務大臣は要望に対し、何らかの対応が必要だと答えていた。総務省はこれを受けて検討を進めてきた。

今回、総務省は運用上の対応を整理し、新たに助言通知を出す。首長が意識不明で、近い将来に回復の見込みがないと判断される場合には、地方自治法と公職選挙法の上で、その状態を「長が欠けた」と解して差し支えないとした。判断にあたっては、事前に議会の議長へ十分な情報を提供することや、議会に報告することなど、判断の妥当性を担保する手段をとることが望ましいとしている。通知は10月30日付で発出する予定だ。総務省は今後、法律による制度化も視野に、さらに検討を進める。

記者から通知の意義を問われた藤井大臣は、町議会と秋田県から寄せられた現場の要望に沿った対応であり、意義のあることだとの考えを示した。

ふるさと住民登録制度、自治体の申請受付開始

総務省は、2027年3月に始める予定のふるさと住民登録制度について、10月30日から、制度に参加する自治体を対象にシステムの利用申請を受け付ける。受付期間は2027年1月29日までとなる。

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受付の開始にあわせ、藤井大臣は全国の首長にあてて、制度への参加と積極的な活用を求める文書を出す。文書では、関係人口を可視化し、地域の担い手の確保や活性化につなげるという制度の趣旨と意義への理解を求める。そのうえで、首長のリーダーシップのもとで制度に参加し、積極的に活用するよう要請する。総務省は、自治体の事務負担や財政負担に配慮した制度設計とシステム開発を進める。自治体の意見を丁寧に聞きながら、制度の開始に向けて着実に取り組むとしている。

国際電話悪用の特殊詐欺、対策検討へ

特殊詐欺の被害は、官民を挙げたさまざまな対策にもかかわらず年々増え続けている。藤井大臣は、非常に深刻な状況にあるとの認識を示した。詐欺グループが最初に接触してくる手段のうち、約6割を国際電話が占める。国際電話については、利用者の申し出に応じた利用休止をはじめ、これまでもさまざまな対策がとられてきた。それでも詐欺への悪用が高止まりしていることから、藤井大臣は踏み込んだ対策の必要性を痛感していると述べた。

総務省は、通信事業者によるこれまでの取り組みを検証する。あわせて、固定電話での国際電話の利用休止について国民に効果的に周知することも含め、実効性のある対策のあり方を検討する。議論は既存の「不適正利用対策に関するワーキンググループ」で、11月2日に始める。

地域未来戦略、分野別の責任者を発令

2026年8月28日の「地域未来戦略に関する関係副大臣等会議(第6回)・地域未来戦略に関する総理報告」で、高市早苗内閣総理大臣から指示が出た。地域未来戦略予算パッケージやこれまでに策定された産業クラスター計画の内容を踏まえ、年末までに「地域未来戦略実現フレーム」を策定するという内容だ。この指示を受け、関係府省庁が検討を進めている。

実現フレームの策定作業を加速するため、政府はインフラ整備や人材育成など分野別の責任者を明確にし、体制を強化した。10月29日には、内閣官房地域未来戦略本部事務局で、関係府省庁の局長等からなる地域未来戦略推進担当官と、課長等からなる担当官補佐を発令している。藤井大臣は、日本成長戦略と車の両輪として、政府が一歩前に出て地方に投資を呼び込むと述べた。地域の特色ある強みを生かした産業クラスターの形成を応援していく考えだ。

記者からは、これまでの地方創生伴走支援制度の地方創生支援官との継続性や関連を問う質問が出た。東京一極集中や地方の人口減少が続くなか、新たな担当官を置くことで何が変わるのかについても尋ねた。藤井大臣は、分野別の責任者を明確にして体制を強化した点に、極めて重要な意義があると答えた。各府省庁で責任者にあたる人を発令しており、実際に政策を動かす国の体制強化につながるとの見方を示した。

「インフラの中のインフラ」のセキュリティ確保

質疑応答では、サイバー攻撃への対応についても質問が出た。相次ぐサイバー攻撃による個人情報の漏えいなどを受け、10月26日にサイバーセキュリティに関する関係閣僚会議が開かれた。会議に出席した藤井大臣は、総務省と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の取り組みを強化・加速すると報告している。会議の場では、高市総理から各大臣に対し、来週中をめどに政府の緊急対策パッケージを取りまとめるため、必要な対策の検討を急ぐよう指示があった。総務省は現在、さらなる対策を検討している。

藤井大臣は、インフラの中のインフラである通信ネットワークと、地方公共団体のサイバーセキュリティの確保に万全を期すことが重要だと述べた。NICTの専門的な知見を最大限に活用し、関係省庁と連携して必要な対策を講じる方針だ。

接続遮断の要請巡る質問、回答控える

続いて記者は、GMOインターネットグループ株式会社の情報漏えい問題を巡る報道を取り上げた。総務省が通信関連の4団体に対し、攻撃者側への接続を遮断するよう要請したと報じられている件だ。記者は、要請した事実があるのかを尋ねた。要請したのであれば、通信の秘密との関係をどう整理し、どのような法的根拠や政策的根拠に基づいて判断したのかもただした。

藤井大臣は、インターネット上で個人情報が公開され、権利などが侵害されることは許されないと述べた。そのうえで、情報を悪用した二次被害の拡大を防ぐことが重要だとの考えを示した。総務省も関係省庁と連携して必要な対応を迅速に進めており、通信事業者ともさまざまなやり取りをしているという。一方で、現在進行中の事案であることを理由に、具体的な対応については回答を控えた。

別の記者は、接続の遮断は憲法が保障する通信の秘密の侵害につながりうるもので、慎重な判断が求められると指摘した。説明がないまま要請が行われることになるのかとも尋ねたが、藤井大臣は同様に回答を控えている。

副首都法が施行、11月中に基本的考え方

副首都の整備について定めた「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」(令和8年法律第78号)は、2026年7月31日に公布され、10月30日に施行された。記者は、施行にあわせて総理を本部長とする推進本部が設置されたとして、今後の取り組みと副首都指定の時期のめどを尋ねた。

藤井大臣は副首都の整備について、大規模災害時に首都中枢機能をバックアップする体制を構築するとともに、東京一極集中を是正し、多極分散型経済圏を形成しようとするものだと説明した。今後は、施行後1年以内に策定することとされている基本方針づくりに取り組む。11月中をめどに、副首都の指定に関する基本的な考え方などもまとめる。指定に向けたスケジュールについては、手続きが円滑に進むよう、基本的な考え方とあわせて示す考えだ。

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