カナダ国内メディア、「オンラインニュース法」で購読者数増加 しかし地方紙は苦戦
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年6月23日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
メディア企業の多くが、ニュースの資金源として読者に目を向けるようになってきている。読者からの収入を得ることでグーグルやフェイスブックといったデジタル巨大企業に奪われた、クラシファイド広告(「イベント」や「求人」、「不動産」などテーマごとに分類された簡素な広告、三行広告)やディスプレイ広告の損失を補うことを期待しているのだ。
しかし、一般人がニュースにお金を払うよう仕向けるのは、控えめに言って難しいことがわかっている。ロイタージャーナリズム研究所のデジタルニュースレポートの最新の数字が示すように、ニュースにお金を払う人の数は停滞している。
ただし、ジャーナリズムが経営的に持続可能で、安全な未来をいかに確保するかを巡って2023年に国際的に注目を集めた、ある国における政策立案者、出版社、プラットフォームの間で行われたテストケースを除いては、である。
2024年、カナダではニュースにお金を払う人の数が2023年の11%から15%へと4ポイント増加し、他の自由民主主義国家とは逆の傾向を示した。これは完全に国内の英語話者のカナダ人によるもので、フランス語話者での支払い意欲は変わっていない。
この増加は、カナダで商業メディアが衰退し、報道機関の閉鎖やジャーナリストの雇用削減が鮮明になる中で、政府が大手SNSや検索サイトなどに対して、プラットフォーム上に掲載されたニュースへのリンクに対する支払いを義務付ける「オンラインニュース法案」の成立した1年の間に起きたものである。
立法にかかるコスト
カナダのC-18法案(オンラインニュース法)は、オーストラリアで2021年に成立した「メディア取引法」をモデルにしている。この法律が成立した結果、グーグルとメタから年間2億オーストラリアドル以上がニュース業界に流入することとなった。
オーストラリアと同様に、カナダの法律はプラットフォームから資金を再配分することを目的としていた。しかし、それには代償も伴った。メタは支払いを避けるためにカナダでのジャーナリズムへの資金援助を撤回し、2023年夏にフェイスブックとインスタグラムのニュースをブロックしたため、小規模なニュースサイトへの訪問数が大幅に減少した。
続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。
-
記事本文残り65%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。