社会情報大、事業構想大の院生が愛媛県西条市市長へ政策提言

社会情報大学院大学、事業構想大学院大学の院生が、2021年8月16日、愛媛県西条市へ政策提言を行った。社会情報大学院大学の特任教授の牧瀬稔氏が担当する講義「シティ・プロモーション」を履修している院生によるものだ。 

牧瀬氏の講義では、授業の最終課題として、実際に自治体に対し政策提言を行うことを最終目標としている。これまでにも今までに埼玉県春日部市、埼玉県三芳町、岩手県北上市、茨城県ひたちなか市(月刊事業構想2020年11月号参照)、島根県美郷町などで政策提言を実施してきた。院生が自治体の首長・企画担当者へ直接提言するという試みは、他の専門職大学院ではあまり見られない珍しい取り組みだ。 

西条市からは (1) 課題解決のために具体的に行動する「活動人口」を創出する方法、(2) コロナ禍における移住施策のプロモーション、の2点のテーマが示された。両校の院生からは「西条市を拠点とする大手企業の採用活動を支援する『西条HR部』」、「コロナ禍を機に、大切な親を思う気持ちを自治体で支援する『親孝行Uターン』」など、市の資源を活かした様々な提言がなされた。社会情報大学院大学 広報・情報研究科5期の前田明子さん含む4名のグループは、活動人口創出をテーマに移住促進施策として、市職員が登場する動画やランクアップ方式で継続的に関わりを創出する「西条市アンバサダー」制度などで、「移住だけではなく、西条市の取り組みや発信をシェアし、自らの言葉で魅力を語れる方を増やすことが重要」と提案した。

西条市の市長の玉井敏久氏は「まず、皆さんが西条市に想いを寄せて頂いたことに感謝しています。市長に就任して5年目となり、シティ・プロモーションにもより力を入れていくなかで、一方的な発信だけではなく、双方向のコミュニケーションが改めて大切であると再認識しました。当市は本年、SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業にも選定いただき、持続可能な自治体運営に向けて『IT人材招致』『農業従事者の副業解禁』など、働きの質、環境整備を進めることを構想するなかで、大変参考になる提案が多くありました」と評価した。今回の政策提言の内容のうち、次年度以降活用できる具体性を持った政策は、予算化も検討される可能性がある。

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地方自治体が重要プロジェクトを実施する際には、外部専門人材、地域、行政、民間などが連携して取り組むことが不可欠だが、そうした関係者間を橋渡ししつつプロジェクトをマネジメントできる「ブリッジ人材」が不足していると言われている。

そこで、総務省より市町村がそうした人材を「地域プロジェクトマネージャー」として任用する制度を創設した。社会情報大学院大学では、地域プロジェクトマネージャーを養成する課程の新設を予定している。

▼ 地域プロジェクトマネージャー養成課程についてはこちら(10月開講予定)

西条市長写真02lite