2020年11月号
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行政の実務に生かす広報研究の成果

広報視点で仕掛ける自治体政策

月刊事業構想 編集部

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人口流出の阻止や知名度の拡大、行政施策への住民意見の取り入れなど、自治体を悩ませる課題は多い。こうした政策立案に役立つのが、広報領域における「公共コミュニケーション」「シティ・プロモーション」といった視点だ。新たな目線は、政策の幅を広げることにつながる。

具体的施策まで落とし込み、
自治体へ提案

自治体政策、地域政策、行政学を専門とし、昨年度から社会情報大学院大学の特任教授として教鞭をとる牧瀬稔氏。担当する講義「公共コミュニケーション」と「シティ・プロモーション」では、実務に生きる学問である“実学”を志向した指導を行っている。同講義では授業の最終課題として、実際に自治体を選定して「公共コミュニケーション」「シティ・プロモーション」に関する政策提言を行うことを最終目標としており、昨年は埼玉県三芳町、春日部市への政策提言を行った。提言は抽象的な政策レベルのものではなく、対象自治体が次年度から活用できるような具体的な施策・事業レベルのものが求められる。

院生が自治体の首長・企画担当者へ直接政策提言を行うという試みは、他の専門職大学院ではあまり見られない特徴的な取り組みだ。

今年は新型コロナウイルスの影響で授業のオンライン化が進んだことを活かして対象地域をより遠隔地へと広げ、「公共コミュニケーション」では岩手県北上市、「シティ・プロモーション」では茨城県ひたちなか市を対象に院生らが調査・検討を進め、8月末に政策提言を行った。

北上市・市民とのつながりを
強化するアイデア

8月24日に行われた「公共コミュニケーション」に関する北上市への政策提言のテーマは、北上市が行政と住民の意見交換の場として設定しているタウンミーティングの新手法について。同市の市民意識調査によると、居住歴の長い市民ほど住みやすさを感じているものの、市政への要望のしやすさに関しては数値が低い。同市では市長と対話するタウンミーティングを行っているが、活用しきれていないのが課題だ。そこで、テーマを『市長と話そうまち育てタウンミーティングの新たな手法』とし、新手法や既存の取り組みの改善策などを院生が考案、市へ提言した。

発表者は「公共コミュニケーション」を受講する五井俊哉氏はじめ5名。五井氏は、タウンミーティングについて「“まちづくりに生かしたい”という募集内容に対し、ミーティング後の効果が少ない」こと、「募集チャネルは広報紙がメインでウェブがほとんどなく、申し込みは紙ベース。煩雑さにより、断念している可能性がある」ことなどを指摘。特に“市をよくしたい”意欲の高い、20~50代の現役世代へアプローチするべく、募集チャネルの改善による認知向上、応募方法の改善、協議会の設立などで参加後の実施状況を明確にコミットすることなどを提案した。

他にも“まちづくりエディター&ライター”を募集することで、まちづくりへの住民の意識を高める方策の提案や、韓国出身の院生による、韓国で実際に行われている政策提案プラットフォームの紹介もあった。具体的には『キタカミ123』として、一般市民が自由に投稿できるプラットフォームを開設。内容に10名が共感すれば市担当が回答、20名が共感すれば討論が開かれる、30名が共感した場合はタウンミーティングを開催するといった仕組みを提案した。

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