北海道島牧村と事業構想大 地域おこし協力隊制度活用した日本初の連携協定

北海道島牧村と学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学は、2024年12月6日、総務省の地域おこし協力隊制度を活用した連携協定を締結した。大学院と自治体が協働して制度活用し授業料免除の仕組みを構築して地域人材育成にあたる事例としては日本初になる。目的は、隊員が地域おこし協力隊としての活動をしつつ事業構想大学院の社会人大学生として現地で自立する力を身につけ、定住できるようになることだ。

協定に基づき、島牧村に事業構想大学院のサテライト拠点を設置し、観光まちづくりに取り組む人材育成に取り組む。それに際して毎年10名の「地域おこし協力隊」兼「社会人大学院生」を募集する。隊員は2025年4月より島牧村で昼間は地域おこし協力隊の活動をしながら、夜間は週2、3日社会人院生として道の駅「よってけ!島牧」に設置する事業構想大学院大学のサテライト拠点から大学院に通い講義に参加して2年間で事業構想修士の学位取得を目指す。大学院の学費は地域おこし協力隊の活動経費を活用し、隊員本人は学費免除される。

第一期の隊員の任期は2025年4月から2028年3月で、1年任期で1年ごとに更新。隊員になるには大学院の入試を突破し、かつ島牧村の隊員としての選考試験に合格する必要がある。3年間の任期中は所定の給与が支給され、大学院の授業料は全額免除だ。来年1月18日から現地での2泊3日のワークショップに参加して現地の様子を理解したうえで応募し、4月から着任になる。地域おこし協力隊は島牧村の第3セクター株式会社アバローネなどに所属して観光まちづくりの事業化に取り組む。総務省地域創造アドバイザーも定期的に訪問してサポートする。

人口1,258人(2024年9月時点)の島牧村は、日本最大級のブナ原生林や3つの温泉地、新鮮な海産物など、豊かな自然と資源に恵まれた地域だが観光分野では未開発の部分が多く、課題も山積している。一方で、観光まちづくりを軸に地域活性化を図る可能性は大きく、今回の連携協定はその第一歩となる。

島牧村の夏井 一充 村長は「外部から来る人の課題を解決することで島牧村はすみやすいと多くの人に思ってもらいたい。村の課題を外部の人の力を借りて解決していくことも必要と思った。人口がどんどん減っていく中でこれを逃した次の機会はないと思った」事業構想大学院大学学長の田中里沙氏は「地域にはまだ磨かれていない地域の資源がある。島牧村の活力を引き出す活動をしていきたい」と話した。