厚労省 共働きや自営業を含む様々な世帯で年金額を試算、公開

厚生労働省は、2024年5月13日の社会保障審議会年金部会で、「多様な世帯構成を踏まえた年金水準の示し方」の検討例を示した。公的年金の支給額を示す「モデル年金」について、「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」以外のパターンを複数示し、給与水準についても平均の0.75倍から1.25倍まで幅を持たせ、自営業者や短時間労働者の場合も含めた計25例を算出している。単身世帯、非正規労働者の割合が増加している国内の現状に対応したものだ。

年金額は物価や賃金の変動に伴い4月に改定される。2024年度の水準では、月額で国民年金だけの単身世帯は6万8000円、共働き世帯で両者が平均的な収入の1.25倍を得ていたケースでは33万4721円、などとなっている。平均的な収入の男性と専業主婦という、これまでの「モデル年金」の世帯は月額23万483円だった。

従来のモデル年金は、現役世代の手取り収入に対する年金支給額の比率を示す所得代替率を50%に維持するための目安として用いられてきた。単身世帯が増える中で、国民それぞれの受給する年金額とモデル年金の乖離が大きくなり、年金制度への信頼低下にもつながりかねないと懸念されている。一方で、示すパターンが多すぎると分かりづらくなる。どのようなケースを出し、どうしてそれを選んだのかを説明できるようにする必要もある。厚労省では今後も検討を続けて意見を集め、年末までに最終案をまとめる予定だ。

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