福岡発のスペーステックスタートアップ「ネクスフォージ」設立 衛星測位で外壁診断をデータ化

高精度測位技術をはじめとする宇宙技術を建築・インフラ分野に応用するネクスフォージ株式会社が2026年5月26日に設立された。本社は福岡県福岡市中央区、代表取締役は入江展親氏。準天頂衛星「みちびき」をはじめとする測位技術やAI、IoT、クラウド、ロボティクスを活用し、建築物や社会インフラの状態をデータで可視化するサービスの開発に取り組むペーステックスタートアップで、まず外壁診断・外壁補修の分野に特化する。

研究開発を進めるのは「スマート診断システム」。建物外壁の状態を、技術者の経験や勘だけに頼るのではなく、データとして記録・比較・活用できる仕組みづくりを目指すもので、第一段階として外壁診断業務の省力化・自動化を支援するシステムの開発を進めている。みちびきなどの高精度測位技術を使い、建物のどの位置で、いつ、どのような診断結果が得られたのかを継続的に記録。過去の診断結果や補修履歴と比較し、状態変化を可視化することで、予防保全や長寿命化につなげる考えだ。将来的には測位技術やAI、クラウド、ロボティクスを組み合わせ、建物の診断履歴や補修履歴を蓄積・活用する維持管理基盤「建物カルテ」の構築を見据える。

建築補修・外壁診断の現場経験を持つ入江展親氏が代表取締役を務め、技術開発を担う取締役CTOの熊本耕作氏、財務戦略を担う取締役CFOの上村幸大氏の3人が経営陣に名を連ねる。現場で培われた知見と、AI・DXやシステム開発、財務戦略の専門性を組み合わせ、宇宙技術の社会実装に向けた事業開発を進める。今後は研究開発や実証実験、事業連携、社会実装に向けて、宇宙関連企業や建築・インフラ関連企業、行政・自治体、大学・研究機関、スタートアップ支援機関などとの連携を図っていくという。

国内では高度経済成長期に整備された建築物や社会インフラの老朽化が進み、維持管理や更新の重要性が年々高まっている。一方で点検・診断の現場は熟練技術者の経験や判断に依存する場面が多く、人材不足や技術継承が課題となっているほか、状態を継続的に記録・比較して経年変化を把握できる仕組みも十分には整っていない。同社の取り組みは、こうした判断をデータとして記録・共有することで、属人化しがちな建築物の維持管理を補おうとするものだ。福岡発のスペーステックスタートアップとして、建築・インフラ分野における新たなデータ基盤の社会実装を目指す。