高崎市で人工知能学会全国大会が開幕 設立40周年、過去最大規模に

人工知能学会は2026年6月8日、第40回全国大会(JSAI2026)をGメッセ群馬(群馬県高崎市)およびオンラインで開幕した。会期は12日までの5日間。学会設立40周年の節目の大会で、発表件数は1397件、参加者数はオープニング時点で4868人といずれも過去最大規模となった。

開会にあたり、大会委員長の小野智弘氏(KDDI総合研究所)は「挑戦」をキーワードに掲げ、大会で予定されている基調講演、特別講演やチュートリアル、大学・企業トップへのインタビュー、40周年記念式典など多彩な企画を紹介した。会期中は参加者同士の交流や、大会優秀賞・学生奨励賞の投票なども行われる。

オープニングに来賓として登壇した群馬県知事の山本一太氏は、製造業が県内GDPの約4割を占める群馬が、新たにデジタルクリエイティブ産業の創出に挑んでいると説明。小中高生が無料で3D動画制作などを学べる拠点として前橋駅前に開設した「tsukurun」と、12~18歳を対象とするデジタルクリエイティブ人材育成プログラム「TUMO」を紹介し、AI時代を担う人材育成への意欲を示した。

基調講演には、共愛学園前橋国際大学副学長で慶應義塾大学名誉教授の國領二郎氏が登壇。「人工知能とビジネスシステムアーキテクチャの共進化」と題し、技術と社会の構造(アーキテクチャ)が相互に影響しながら進化していく枠組みとAI時代のビジネスの形を提示した。國領氏は、生成AIがソフトウェア開発の生産性制約を解き、内製化や垂直統合への回帰を促す可能性、AIが負えない責任の所在、取引費用の低下がもたらす組織や流通の再編、そしてデータ主権の4つを主要論点に挙げた。さらに、本人が鍵を保持する分散型ID・データ連携基盤など前橋での実践を紹介し、研究者に対して「持ち時間の5%は、技術が社会に与える意味を考えてほしい」と呼びかけた。

今回の大会では、人工知能学会の40周年記念企画として、大学やファンディング・エージェンシー、大手企業のトップのインタビューを予定している。また6月10日午後には40周年記念イベントも実施する。最終日の12日まで、AIの最先端を巡る活発な議論が交わされる。