長谷虎紡績、イノカ、aiESG ネイチャーポジティブな地域経済モデルの構築へ連携協定

長谷虎紡績(岐阜県羽島市)、イノカ(東京都文京区)、aiESG(福岡県福岡市)の3社は2026年6月9日、地域の豊かな自然環境と経済活動が深く結びつき、互いの価値を高め合う「ネイチャーポジティブな地域経済モデル」の構築を目指し、包括的な連携協定を締結したと発表した。環境負荷が高いとされる紡績産業の持続的な経済成長と自然資本の回復の両立を狙う。

「清流の国」として知られる岐阜県の三大河川の1つである長良川  Photo by 紀世 村上/Adobe Stock

長谷虎紡績は1887年創業の老舗紡績会社で、繊維事業で培った高度な技術を武器に、現在はアパレルから航空宇宙産業まで幅広く事業を展開。イノカは2019年創業の自然環境の総合的プロフェッショナル集団で、「環境移送技術®」を駆使し、自然の「可視化」と「価値化」を進めている。aiESGは九州大学発のスタートアップで、AIを活用したESG・ソーシャルインパクト評価サービスを提供している。

3社は長谷虎紡績の岐阜県羽島市・平方工場および周辺流域をフィールドに、産業が自然に与える影響を多角的に解明する。分子生物学レベルでの生き物への影響調査や地域自然の定期的なモニタリングに、人々の心理的受容性の数値化や地域住民への環境普及啓発活動を組み合わせ、「主観的な懸念」を「客観的な信頼」へと変換。科学的根拠に基づく持続可能な合意形成を導く枠組みの構築に着手する。

この枠組みは「3つの視点」で構成されており、長谷虎紡績は産業と自然が共生する「未来の工場」の在り方を体現し、地域社会との対話を主導。イノカは環境DNA調査などで流域の生物多様性や工場排水の影響を科学的に把握する。aiESGは九州大学・馬奈木研究室の知見をもとに、地域住民や消費者が自然に抱く想いや受容性を数値化し、意思決定の指標を策定する。

今後3社は、2026年5月より四季を通じた第1回環境調査と地域ステークホルダーへのヒアリングを開始。同年8月に全国規模の意識調査を実施し、2027年以降に調査結果の発表と地域還元型イベントの開催を予定する。3社はこの「岐阜モデル」を次世代の持続可能なものづくりの標準として、日本全国と世界へ発信していく考えだ。