【6月9日鈴木憲和農水大臣会見】消費税減税・農機撤退・水田政策・3兆ドル市場への「攻め」 4テーマで見る農政の現在地
2026年6月9日、鈴木憲和農林水産大臣は定例記者会見に臨み、食料品の消費税引き下げに伴う農業・外食業への支援、三菱マヒンドラ農機株式会社の農業用機械事業撤退への対応、水田政策見直しに向けた提言の受け止め、そしてメルコスール(南米5カ国で構成)との経済連携協定(EPA)交渉の方向性という4つのテーマについて見解を示した。
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消費税減税の影響緩和、農水省として「適切に対応」
食料品の消費税引き下げをめぐっては、外食業界からプレミアム付き商品券などの需要喚起策、農業団体からは仕入税額分の収入減を補償する制度の創設を求める声が上がっている。
鈴木大臣は4月22日に開催された社会保障国民会議の実務者会議で農業・水産業・外食の関係団体からヒアリングが実施されたことに言及し、「現場の実態を踏まえた率直な御意見や御要望が示された」と述べた。また6月4日の衆議院予算委員会において、高市早苗総理が「政府として皆で議論を見守りながら頭の体操をする、しっかりお支えしていく、そういう段階にある」と答弁したことも紹介した。農林水産省としては、農林漁業者や食品関連事業者の懸念や課題をしっかりと受け止めた上で、社会保障国民会議での議論が進むよう「適切に対応する」との方針にとどまり、具体的な補償スキームの設計には言及しなかった。
三菱マヒンドラ農機の撤退、技術継承に向けた努力を表明
三菱マヒンドラ農機株式会社は本年9月に農業用機械事業から撤退することを発表している。同社は有機米の拡大にもつながる紙マルチの独自技術を持つことでも知られ、技術や農機の継承に対しては生産現場から不安と期待の双方の声が聞かれる。
鈴木大臣は同社が撤退後も既存製品の補修用部品供給を継続し、顧客を含む関係各位に不便・迷惑をかけないよう配慮する旨を公表していると確認した上で、「生産者の皆さんには一定のニーズがある。三菱マヒンドラ農機と連携しながら、ものがいかに継承されていくか、できる努力をしたい」と述べた。
水田政策見直し提言を受理、予算編成で詳細を検討
6月8日、自民党の江藤拓農業構造転換推進委員長ら農林幹部が農林水産省を訪れ、水田政策見直しに関する提言を申し入れた。本年3月以降に本格化した議論の集大成となるもので、同党は全国の現場を巡回して農業者から聞き取りを重ねてきた。
鈴木大臣は「しっかりと受け止めたい」とした上で、支援の単価・要件・制度設計の詳細については予算編成の過程で検討を深めると説明した。「条件によって不利があってはならない。現場の皆さんが納得いただける制度になるようにしたい」と強調した。
メルコスールEPA、「守るべきものは守る」原則を堅持
南米5カ国で構成するメルコスールとのEPA交渉をめぐり、国内農業への影響を問う質問が出た。鈴木大臣は現時点で政府として交渉開始を決定していないとしながらも、メルコスールが「人口約3億人・経済規模約3兆ドルのかなり大きい市場」であり、農林水産物・食品の新規市場開拓先として「有望だ」と指摘した。その上で、「重要5品目をはじめとした農林水産物のセンシティビティには配慮し、守るべきものは守る」という従来方針を改めて確認。一方、農林水産物・食品の輸出拡大を推進するためには国内の供給力強化も不可欠とし、「新たな市場が開拓されて供給が増えていくことになれば、安定的に供給できるよう、そうしたところへの投資が進むような政策にしていきたい」と述べた。