プライバシー規制、ニッチ市場の新規事業創出などに影響あり 米国の新法案に警鐘
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年8月12日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
オリオン・ブラウン氏は、ホテルのローションやシャンプーが黒人女性旅行者にとって不十分だと感じ、ブラック・トラベル・ボックスを設立した。ランデル・ベネット氏は、スペイン語を話す運転手を対象にした保険スタートアップ「Sigo Seguros」を共同設立した。ビル・シュフェルト氏とジョン・ウォーカー氏は、社交的な場面で飲酒しない人々やアスリート向けに美味しいノンアルコールビールを提供する「Athletic Brewing Company」を創業した。
これらの成功したビジネスに共通する点は何か。それは、いずれの企業もFacebookやInstagramなどのパーソナライズ可能なデジタル広告プラットフォームを活用してビジネスを成長させたということだ。いずれのビジネスも大企業と競うためのテレビ広告を打つ予算はなく、これまで無視されていたニッチな市場に対応するものだ。
しかし現在、米議会で検討されているプライバシー法案が、今後同様の事業が発展するのを困難にする可能性がある。私たちは公共政策がマーケティングに与える影響に関する研究を専門とするマーケティングの教授であり、この二党間合意に基づく「2024年米国プライバシー権法(APRA)案」が、ターゲティング広告に依存する小規模なビジネスを弱体化させる恐れがあると懸念している。
アメリカ国民の間では、政府がデータプライバシーに対してより介入的なアプローチを取ることに賛成する意見が増えている一方で、多くの研究はプライバシー規制が意図せざる結果をもたらす可能性があることを示している。
プライバシー規制の厳格化、メリットしかないのか?
米国プライバシー権法(APRA)案は2024年4月に上下両院で審議され、「全国的な消費者データのプライバシー権利を創設し、データセキュリティの基準を設定する」と上院の要約で説明されている。
この法案は、データ収集・データ利用に関する全国的な基準を設けるものであり、州ごとに異なる規制を統一するという利点がある。ワシントン・ポスト紙はこの法案を支持する社説の中で、これまでの州の法律と比較して「同等もしくはそれ以上に厳しい」と述べている。厳しい方が良いのだろうか?
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