安心感からリピーターを生む、山奥の小さな旅館のインバウンド戦略
大分県の湯平温泉にある「旅館 山城屋」は、宿泊客のほぼ9割が外国人だ。口コミによって世界で知名度を上げ、「トリップアドバイザー」の日本の宿泊施設満足度ランキングにおいて、2024年度に2位を獲得した。山奥の小さな旅館に、なぜ外国人が集まるのか。同旅館のインバウンド戦略に迫った。

二宮 謙児(山城屋 代表)
人口減少を見据え、20年前から
インバウンド戦略に取り組む
大分県由布市にある湯平温泉。由布院温泉から15キロほど離れた山中にある、古き良き湯治場の風情残す温泉地だ。ここに、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の日本の宿泊施設満足度ランキングにおいて、2024年度に2位を獲得した「旅館 山城屋」がある。同宿は6室の客室と4つの浴室がある小さな温泉旅館だが、コロナ禍の前から外国人客の受け入れを積極的に進めており、外国人客の割合が88%に上ることが大きな特徴だ。
「宿泊客はほぼ90%が外国人で、10%が日本人です。日本人を排除しているわけではなく、結果的にこうなりました。なぜかというと、外国の方はかなり早い段階で宿の予約を入れる傾向があり、すでに2025年11月の予約も入っています。そうすると日本の方が来月行きたいとなっても、なかなか予約が取れないのです」と代表の二宮謙児氏は語る。
山城屋が最初にインバウンドに取り組んだのは、約20年前。まだインバウンドという言葉が一般的ではなかった頃だ。そのときすでに、日本人客はかなり減っていたという。
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