リブセンス「儲けの仕組み」を解剖 「市場との対話」で事業創造
ビジネスモデルを創造するためのアプローチの一つが、市場・顧客分析だ。「市場との対話」を行い、仮設・検証を繰り返すことで、事業の完成度を高めていく。リブセンスのビジネスモデルも、その創造プロセスに注目すると、基本に忠実であることがわかる。
「市場との対話」というのは、基本的には市場調査からビジネスモデルを構築していく方法である。顧客の「困ったな」や「あったらいいな」を市場に尋ねながらつくり上げるという意味では、昔ながらの方法だ。しかし、尋ね方の質やテンポが格段に上がったという意味では新しい。古くて新しいアプローチなのである。
その手順は、単純化すると後述の4つのステップから成り立つ。今回は、4つのステップと照らし合わせながら、リブセンスの事業創造を紹介する。
リブセンスの事業創造プロセス
リブセンスの事業の柱は、アルバイト情報サイトの「ジョブセンス」である。ジョブセンスは、「掲載無料」によって広告を集め、「採用お祝い金」によって応募者を引きつけている。一体どこで儲けるのか。儲けの仕組みという視点では、ありえない考えだ。創業者の最年少で上場など、とかく特別視されがちなリブセンスだが、事業創造のプロセス自体は基本に忠実である。
(1) 観察やインタビューを通じたアイデア創造
「市場との対話」の第1のステップは、先入観にとらわれない観察やインタビューから始まる。ときに、自身の経験がアイデア創造の起点になることもある。
リブセンスの場合、創業者の村上太一氏が、自身の「困ったな」をきっかけにアイデアを生み出した。高校3年生の頃、アルバイトを探したが、なかなか見つからない。このとき、店頭で「アルバイト募集」とあっても、それがネットや雑誌に掲載されていないことに気づく。「アルバイト募集の情報を、ネットに出しておいてくれればいいのに」と感じたそうだ。
採用が決まったバイト先の店長に尋ねてみると、広告を掲載するには10万円かかることがわかった。探す自分も不便だったが、店としても不満を感じている。そこで村上氏は、双方にメリットのあるサービスを考えた。それは、求人広告ならぬ求職者リストのサイトだった。すなわち、最初にアルバイトしたい人に勤めたい地域・期間等の条件を匿名で登録してもらい、企業にはその登録リストの中から条件に合う人を選んでもらう。そして採用が決まったときに、企業から「成果報酬」を受け取るというものだ。
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