日本郵便 物流改善のオープンイノベーション成果を報告

 

日本郵便とサムライインキュベート(東京都品川区)は、2018年2月1日、オープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」の成果発表会を開催した。2017年11月に、105社の応募の中から採択した4社とこれまでに実施したプログラムについて発表するとともに、「POST LOGITECH INNOVATION AWARD」を決定した。

 

今回のプログラムの募集テーマは、郵便物流のラストワンマイルを変革するテクノロジー。参加企業は、日本郵政の郵便・物流システムを活用した実証実験が可能になる。また、テストマーケティング費用の拠出や、サムライインキュベートおよび日本郵便から出資を得られる可能性がある。その他にも、外部スペシャリストのメンタリングを受けられたり、日本郵便も役員クラスの参加で短時間の判断を下せるようにしたり、各企業に「エース級」の担当者を派遣することで、プログラムにコミットしている。

 

2月1日の成果発表会で最優秀賞に選ばれたのは、オプティマインド(名古屋市)。名古屋大学発のベンチャー企業で、人工知能や機械学習の技術を持つ。今回のプログラムでは、機械学習を用いた配達ルート最適化システムを構築し、草加郵便局で実証実験を行った。実験では、荷物を配達する際のルート作成の自動化と、最適ルートでの配送による効率を測定した。

 

ネット通販の普及により、小包の取扱数は爆発的に増加している。他方、労働人口は減少傾向にある。持続可能な荷物の配達のために、配送の効率化は重要だ。オプティマインドの松下健代表は、「新人の配送員でも効率よく配達をできるようにすることを目標にシステムを構築した」と話した。草加郵便局で実施した試験では、ベテランの配送員が配送ルートを作成するのに必要な時間は14分、新人の配送員は同じ作業に44分かかるが、オプティマインドのAIは6分でルートを作成した。また配送にかかった時間は、ベテラン34分、新人57分となったが、AI使用時には45分に短縮できた。 

 

日本郵便の横山邦男社長は、「まさに目の前の課題を解決するために必要な技術で、なぜ自社から出てこなかったのかと思ったし、オープンなイベントを開催して良かったとも思った」と選定の理由を語った。

    

また、フロアの観客が選ぶ観客賞は、電子落とし物タグを開発・販売しているMAMORIO(東京都千代田区、関連記事)が受賞した。受賞した2社のほかには、旅行者の荷物預かりプラットフォームを運営するecbo(東京都渋谷区)と、航空ドローンと自走式宅配ボックスを組み合わせた配送サービスを計画しているDrone Future Aviation(東京都渋谷区)などがプレゼンテーションした。これらの企業もそれぞれ、日本郵便と協力してサービス開発を実施している。

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