中小企業庁、「わがまち商店街表彰2026」受賞商店街で視察・意見交換会 人材育成研修「マチスタート」も参加者募集
経済産業省中小企業庁は、「地域にかがやく わがまち商店街表彰2026」の受賞商店街を訪ねる視察・意見交換会を、2026年11月から12月にかけて全国4カ所で開く。商店街の活性化やまちづくりに必要な知識を学ぶ人材育成研修「マチスタート」の参加者もあわせて募集中だ。どちらも2026年9月30日に開かれたシンポジウムの当日から申し込みの受け付けを始めている。
ⓒ 2026 中小企業庁
同表彰は、「商店街」という場所を活かして地域の活性化に役立つ取り組みを行う者を表彰する制度だ。受賞者の取り組みについて成功の要因を分析し、ほかの地域へ広く共有することで、全国の商店街と地域の活性化につなげることを目指している。2026年は有識者で構成する審査委員会の審査を経て15件の受賞が決まり、7月10日に経済産業省で開いた表彰式では経済産業大臣が受賞者に感謝状を授与した。
受賞者の取り組みを多くの関係者に伝える場として、中小企業庁は9月30日、経済産業省でシンポジウムを開いた。会場とオンラインを併用したハイブリッド形式で、受賞者15者のうち10者が登壇者に名を連ねた。受賞者と審査委員が取り組みのポイントや参加者が自らの商店街に取り入れるべき点を紹介し、商店街の個店が稼ぐために商店街組織がどう動くべきかを議論する場と位置づけた。プログラムには「商店街の店舗の新規顧客開拓に貢献する~イベント・地域資源活用等~」と「恒常的に人が訪れる目的を作る~空き家活用・創業支援、地域環境整備等~」をテーマとする2つのパネルディスカッションを組んでいる。モデレーターと講評は、審査委員を務める和歌山大学副学長・経済学部教授の足立基浩氏、流通科学大学商学部マーケティング学科准教授の新雅史氏、事業構想大学院大学の田中里沙学長、京都大学名誉教授の広井良典氏が担う布陣とした。
シンポジウムに続く視察・意見交換会は、受賞商店街のうち4カ所を会場とする。11月27日(金)の協同組合中之町商店会(岡山県岡山市)を皮切りに、12月4日(金)は向島橘銀座商店街協同組合(東京都墨田区)、12月10日(木)は内田橋商店街振興組合(愛知県名古屋市)、12月17日(木)は朝霞駅前商店会(埼玉県朝霞市)で開催する。
会場となる4団体は、それぞれ異なる方法で来街者や出店者を増やしてきた。協同組合中之町商店会は、若手や女性に加え、商店街で事業をしていない地権者も理事に迎えた。地権者との交渉や使われていない物件の掘り起こし、ポップアップ出店などを通じて店舗誘致を進め、10年間で30店舗以上が新たに出店している。向島橘銀座商店街協同組合は、暮らしに必要な店舗の誘致やイベント、防犯・防災の取り組みを重ね、住民に根ざした商店街を築いた。ほかの地域の取り組みを自らの規模に合わせて取り入れ、長く続けてきた点も特徴である。
内田橋商店街振興組合は、「内田橋まつり」と「まきわら祭」をきっかけに、解散寸前だった組織の中で会話と活動を取り戻した。学生や行政と組んだイベントやキッチンカーの設置、必要な店舗の誘致によって、それまで少なかった親子連れや高齢者の来街が増え、新規出店の支援で2年間に15店舗が出店した。朝霞駅前商店会は、駅前エリアを歩行者天国にする「ASAKA STREET TERRACE」を市の一大イベントに育てたほか、LINEやInstagramなどを使った広報にも取り組む。来街者が増えたことで出店も進み、会員は5年間で約20店舗増えた。
参加者は受賞商店街を見学し、こうした取り組みの実例を学べる。商店街関係者や支援機関などと意見を交わし、ネットワークを築く場にもなる。中小企業庁の表彰ページによれば、商店街支援の専門家や有識者に悩みを相談することもできる。申し込みは2026年11月20日(金)まで先着順で受け付けており、方法などの詳細は中小企業庁のウェブサイトに掲載されている。
視察・意見交換会が受賞商店街の現場から学ぶ場であるのに対し、令和8年度まちづくり人材育成研修「マチスタート」は、商店街活性化・まちづくりの基礎知識から先駆的な事例までを幅広く学び、地域で実践する力を身につける研修である。プログラムは、データを活用して地域の課題を分析し目指す方向性を構想する力、地域の資源や多様な人材を活かした体制・組織を構築する力、新たな視点に立って民間で持続可能な事業を構築する力の3つを身につけられる構成とした。所属や役職は問わず、商店街関係者のほか、まちづくり会社や行政、商工会議所、商工会、金融機関の職員など、幅広い立場の人が参加できる。
受講方法は「オンライン研修のみ」と「オンライン研修と宿泊研修」の2通りから選べる。オンライン研修は2026年11月16日(月)、19日(木)、24日(火)、27日(金)の計4回で、時間はいずれも17時から18時30分まで。Web会議システムを使って実施し、定員の上限はない。参加費は無料で、通信料は受講者が負担する。会員登録をしなくても受講でき、参加登録をした人には会議のURLが送られる。
宿泊研修に参加するには、オンライン研修の受講が必須となっている。2027年1月18日(月)から20日(水)までの3日間、経済産業省経済産業研修所(東京都東村山市)で開き、定員は40名程度とした。講師の講義や指摘、受講者同士の議論を通じて、自分の地域をデータに基づいて分析し、課題を抽出したうえで持続可能な事業案をまとめる方法を実践的に学ぶ。受講者はオンライン研修での学びを活かし、宿泊研修までに自地域の課題分析などに取り組んで事前に提出する。参加費と宿泊費は無料だが、移動にかかる交通費は自己負担となる。応募者が多い場合は抽選となることがあり、商店街関係者やまちづくり会社、市役所職員などが2~3人のグループで地域から参加することもできる。
全体コーディネーターは合同会社デロイト トーマツ Social Design統括パートナーの坂口剛氏が務め、研修アドバイザーとして株式会社POPSクリエイティブディレクター/コピーライターの田中淳一氏、合同会社デロイト トーマツ シニアコンサルタントの船生柊伍氏が加わる。講師陣には、視察・意見交換会の会場となる向島橘銀座商店街協同組合の大和和道事務局長と、協同組合中之町商店会の片山進平代表理事も名を連ねる。このほか、株式会社グリーンホワイトの坂井秀人代表取締役、株式会社 大宝興産の安倍幸一郎代表取締役、たじみDMOの松井侑樹まち室マネージャー、わがまち商店街表彰2026の受賞者でもある上乃裏商店会で企画運営を担う和泉秀氏が講師を務める。
マチスタートの申し込みは、中小企業庁のウェブサイトに掲載された申し込みフォームから、2026年10月30日(金)17時まで受け付ける。