ナガセケムテックス、衣類を「消耗品」から「資産」へ 洗濯劣化を抑える新技術「RLR」を開発
ナガセケムテックス株式会社は、洗濯による衣類の劣化を抑制し、風合いを維持したまま長寿命化を実現する独自技術を開発した。同社が独自開発した「ラバーライクレジン(RLR)」を活用し、リネンサプライやユニフォームレンタル、ファッションレンタルの分野で、衣類の買い替え頻度の低減と資源循環への貢献を目指す。衣類を「消耗品」から「資産」へと捉え直す考え方を掲げる。同社はNAGASEグループの中核製造子会社で、合成技術・配合技術をコアテクノロジーに、高機能樹脂やフォトリソグラフィ用材料、導電塗料、機能性色素などを開発・製造している。
開発の背景には、深刻化する繊維廃棄の問題がある。世界の繊維廃棄量は年間約9,200万トンに上るとされ、ホテルや病院などでのリネンサプライ、ユニフォームレンタル、ファッションレンタルの現場では、洗濯の繰り返しによる生地の劣化や移染が衣類の寿命を左右している。買い替え頻度の高まりは、事業者のコスト増加だけでなく衣類廃棄量の増加にもつながる。同社はこうした課題に対し、「劣化してから補修する」のではなく「劣化そのものを予防する」というアプローチから本技術を開発した。
RLRは、水系エマルションタイプの加工剤を用いて繊維に特殊な膜を形成する独自の加工技術である。独自性は大きく四点ある。第一に、従来は耐久性を付与すると生地が硬くなる傾向があったのに対し、柔軟な風合いを維持しながら、洗濯によるへたりや寸法変化、毛玉、色移りを抑え、風合いと強度のトレードオフを克服した。第二に、既存の工業用洗濯機の最終すすぎ工程で規定量を投入するだけで加工が完了するため、新たな設備投資を必要とせず導入できる。洗剤成分が残存する条件下でも繊維に定着する点も特長だ。第三に、繊維表面の毛羽立ちを抑えることで、洗濯時の繊維脱落量を未加工品比で約93%低減することを自社試験で確認しており、衣類由来のマイクロプラスチックの流出抑制への貢献が期待される。第四に、リサイクル時には特定の処理によって被膜を剥離できる「易解体性」を備え、従来のコーティング剤がリサイクルの阻害要因となる課題を解決する。
同社は現在、関連業界において実証評価を進め、衣類の寿命延長効果や運用面での有効性を検証している。あわせて、本技術の社会実装を通じた資源循環社会への貢献を目指し、環境省が推進する「サステナブルファッション・パートナー」に参画した。
今後は、ホテルや医療、サービス業向けのユニフォームやリネンなど、幅広い用途への展開を目指す。使用後の処理ではなく「劣化予防」に着目した今回の技術は、業務用衣類の運用コストと環境負荷の双方に関わる取り組みであり、環境省のパートナーとしての活動を通じて、衣類の長寿命化による資源循環社会の構築に寄与することが期待される。