4~6月期の実質GDPは年率1.1%増 3期連続プラス成長
内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部は2026年8月17日、2026年4~6月期の四半期別GDP速報(1次速報値)を公表した。物価変動の影響を除いた実質GDP(2020暦年連鎖価格)は前期比0.3%増、年率換算で1.1%増となり、2025年10~12月期から3四半期続けてプラスを確保した。名目GDPは前期比1.2%増、年率換算で4.8%増である。実額は実質598.3兆円、名目687.7兆円となった。
外需が支え、内需は0.2ポイント押し下げ
成長率を需要別の寄与度に分けると、実質では国内需要が0.2ポイントの押し下げ、財貨・サービスの純輸出、すなわち輸出から輸入を差し引いた外需が0.5ポイントの押し上げに働いた。国内の支出が全体として弱いなかを、外需が補った形である。ただし外需のプラスは輸出が伸びた結果ではない。輸出は0.5%増と1~3月期の1.7%増から伸びが鈍り、輸入が1.5%減と大きく落ち込んだため、差し引きの純輸出がプラスに転じた。名目では国内需要が1.0ポイント、外需が0.1ポイントの押し上げとなっている。
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内需が振るわなかった主な要因は、家計と企業の支出が同時に減ったことにある。民間最終消費支出は実質でほぼ横ばいの0.0%減となり、0.5%増だった1~3月期から減少に転じた。家計最終消費支出も0.1%減である。民間住宅は0.5%減、民間企業設備は1.2%減となり、設備投資は1~3月期の1.0%減に続いて2四半期連続のマイナスとなった。こうしたマイナス材料の一部を打ち消したのが民間在庫変動で、成長率を0.3ポイント押し上げている。
教育費の支援拡充が反映
公的部門では、政府最終消費支出が1.6%増と大きく伸びる一方、公的固定資本形成は0.1%減、公的在庫変動は0.5ポイントの押し下げ要因となった。消費と政府支出が逆方向に動いた背景は、内閣府が7月28日に公表した「2026年4-6月期四半期別GDP速報(1次速報値)における推計方法の変更等について」で説明されている。高等学校等就学支援金の制度改正で所得制限が撤廃され、私立高校に通う生徒への支給上限額が引き上げられたこと、公立小学校を対象とする「学校給食費の抜本的な負担軽減」が始まったことにより、家計が負担しなくなった分は家計最終消費支出から差し引かれ、代わりに一般政府などの最終消費支出に計上される。家計の実感としての支出減とは意味合いが異なる点に注意が必要である。
公的在庫変動の落ち込みにも制度上の背景がある。国民経済計算では国家備蓄原油を公的在庫として扱う。経済産業省は石油の備蓄の確保等に関する法律に基づき、第2弾となる国家備蓄原油の放出を2026年5月1日から約20日分実施しており、備蓄の取り崩しが公的在庫の減少として計上された。
物価高で名目と実質の差が拡大
名目の伸びが実質を大きく上回ったのは、物価の上昇が続いているためである。GDPデフレーターは季節調整済前期比で0.9%、国内需要デフレーターは1.2%となった。原系列の前年同期比ではGDPデフレーターが2.6%、国内需要デフレーターが2.9%である。前期比でみると輸入デフレーターの4.9%が輸出デフレーターの3.4%を上回り、輸入価格の上昇が輸出価格を上回る状態が続いた。この影響を受け、海外との所得のやり取りと交易利得を加えた実質GNI(国民総所得)は0.4%減、年率換算で1.8%減となった。実質GDPが0.3ポイント押し上げに働いた一方で、海外からの実質純所得が0.5ポイント、交易利得が0.2ポイントの押し下げに働いた計算である。
雇用者報酬は名目2.0%増
家計の所得環境は改善が進んでいる。雇用者報酬は名目で前期比2.0%増、前年同期比では5.0%増と伸びを高めた。名目雇用者報酬を家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで割った実質値は前期比0.8%増、家計最終消費支出デフレーターで割った実質値は0.9%増となり、前年同期比ではそれぞれ2.2%増、2.3%増である。賃金の伸びが物価の上昇を上回る状態を保てるかどうかが、消費の持ち直しを左右する。
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