グッチなどを擁するケリング サステナビリティへの10年の取組成果を公表
グッチやブシュロンなどを傘下に持つグローバル・ラグジュアリー・グループのケリングは2026年6月5日、「Crafting Tomorrow's Luxury(未来のラグジュアリーを創造する)」戦略の発表から10年を迎えたことを受け、2016~2025年の取り組みを総括した「インパクトレポート」を公開した。同レポートは戦略の背景にある考え方を詳述し、科学的根拠に基づく目標に対する測定可能な成果を示している。同グループはこの間、「CARE(環境への配慮)」「COLLABORATE(協業)」「CREATE(創造)」の3つの柱のもと、ビジョンを具体的な行動へと転換してきた。CEOのルカ・デメオ氏は、サステナビリティを「ビジネスそのものの基盤」と位置づけ、業界内の協業を通じて広いインパクトをもたらせたことを強調した。
©Carolyn Drake / Magnum Photos for Kering
3つの柱の具体的取組としては、「CARE(環境への配慮)」の領域では、2021年にグループ全体で毛皮の使用を禁止し、ラグジュアリー業界で初の動物福祉スタンダードを策定。環境負荷を可視化する環境損益計算(EP&L)を先駆的に導入した。温室効果ガス排出量は2022年比で2025年に絶対量34%削減を達成し、再生可能電力100%の目標も3年前倒しで実現。主要原材料では97%のトレーサビリティを確保したほか、100万ヘクタールの自然再生対象地を確保し、2050年までのネットウォーターポジティブも約束している。
「COLLABORATE(協業)」の領域では、約150社が参加し業界の約3分の1を占める「ファッション協定」を設立したほか、カルティエと「ウォッチ&ジュエリー イニシアチブ 2030」を共同設立し、88社と協働。学術機関との連携で教育課程にサステナビリティを組み込み、社内向けには「ケリング・サステナビリティ・アカデミー」を開設した。さらに、全従業員一律の育児休暇制度やファッションモデルのウェルビーイング憲章の策定など、人を中心に据えた施策も推進した。
「CREATE(創造)」の領域では、素材・ウォッチ・ジュエリーの分野に専用イノベーションラボを設置し、225社以上のスタートアップと協働。投資部門「ケリング ベンチャーズ」を設立し、リセール大手ヴェスティエール コレクティブへ出資した。中国・日本・サウジアラビアでは「ケリング・ジェネレーション・アワード」を創設し、若手人材を支援。グリーンファッションショー・ガイドラインの導入など、循環型ビジネスへの転換を図った。
ケリングは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、ブシュロンなどを傘下に持つファミリー経営のグローバル・ラグジュアリー・グループ。創造性を戦略の中核に据え、サステナブルなラグジュアリーの実現を目指している。2025年の売上高は約147億ユーロ、社員数は約44,000人にのぼる。