日本スタートアップ大賞2026 応募317件から10社表彰
「日本スタートアップ大賞2026」の受賞企業10社が決まった。内閣総理大臣賞(日本スタートアップ大賞)には、フィジカルAIを搭載したロボットの世界共通基盤を展開する株式会社Mujin(東京都江東区)が選ばれた。
日本スタートアップ大賞は、次世代のロールモデルとなるような、インパクトのある新事業を創出した起業家やスタートアップを表彰する制度である。2015年に「日本ベンチャー大賞」として始まり、2022年の第6回から現在の名称となった。第10回の今回は、経済産業省、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、総務省、防衛省の7省が募集を行った。全国から寄せられた317件の中から、東北大学大学院経済学研究科教授の福嶋路氏を委員長とする審査委員会が受賞企業を選んでいる。
Photo by hallojulie/ Adobe Stock
応募企業を設立後の年数でみると、5年以下が121件、6~10年が129件、11年以上が67件だった。業種別では「サービス/プラットフォーム」が133件で最も多い。
大賞のMujinが評価されたのは、50年間不可能とされてきたモーションプランニング技術のロボットへの実用化に世界で初めて成功し、独自のフィジカルAI「MujinMI」を開発した点だ。物流・製造現場の自動化を進め、人手不足の解消と産業の生産性向上に貢献することが期待されている。
同社の事業の中核は「MujinOS」である。ロボットやAGV、保管システム、各種センサーなど、工場や倉庫の自動化設備を共通のデジタルツイン基盤でつなぐ。CEO兼共同創業者の滝野一征氏と、ロボット工学の研究者ロセン・デアンコウ氏が2011年に共同で創業した。
大賞に続く各大臣賞では、経済産業大臣賞(日本スタートアップ優秀賞)にリージョナルフィッシュ株式会社が選ばれた。同社はゲノム編集などの最先端技術により、従来約30年を要した水産物の品種改良を2~3年に短縮した。国の手続きを経た世界初のゲノム編集動物食品も上市している。
農林水産大臣賞(農業スタートアップ賞)のOishii Farm株式会社は、量産が困難とされてきた植物工場で、世界で初めていちごの安定量産とビジネスモデル化を実現した。文部科学大臣賞(大学発スタートアップ賞)のラピュタロボティクス株式会社は、メーカーや種類を問わず、多様なロボットを多数台制御できる独自の群制御技術を開発している。
厚生労働大臣賞(医療・福祉スタートアップ賞)はUbie株式会社が受賞した。生活者向けAIと医療機関向け生成AIを組み合わせ、適切な受診行動の支援と医療現場の業務効率化を一体的に進めている点が評価された。国土交通大臣賞(国土交通スタートアップ賞)の株式会社SkyDriveは、電動で経済性に優れたコンパクトなエア・モビリティを目指して開発を進め、日本初の公開有人飛行試験に成功している。
総務大臣賞(情報通信スタートアップ賞)のSakana AI株式会社は、自然界の進化や集合知に着想を得て、安価で省電力なAI開発手法を確立した。防衛大臣賞(防衛スタートアップ賞)は株式会社Oceanic Constellationsが受けた。多数の水上無人機をネットワーク化し、海洋を常時監視する「USVコンステレーション・サービス」の開発が評価の対象である。
このほか、審査委員会特別賞には2社が入った。アイリス株式会社は、咽頭画像から感染症を判定する医療機器「nodoca」を開発した。株式会社Acompanyは、データの利用中も暗号化を維持する「Confidential Computing(機密コンピューティング)」を商用レベルで実装している。