経産省 広島のがん検診ソーシャルインパクトボンドの総括を発表

経済産業省は、2022年1月26日、広島県及び県内6市による「ソーシャルインパクトボンド(SIB)の手法を用いた新たながん検診の個別受診勧奨業務」について、総括レポートを発表した。

今回の事業は、経産省が2017年度に案件形成支援を行い、2018年度に、都道府県と市区町村が一緒に取り組む「垂直連携型」SIB事業としてスタートしたものだ。このSIB事業では、広島県と竹原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市が、キャンサースキャン(月刊事業構想2021年3月号参照)に事業を委託し、大腸がん検診受診率向上事業と精密検査受診率向上を目指した。国民健康保険に加入している住民のうち、検診を受けていなかった人に対し、個人に合わせた「オーダーメイド型」を含む受診勧奨を実施した。

事業自体は2020年12月に終了。広島県は、成果指標である「大腸がん検診受診者数」と「精密検査受診率」の改善状況を評価し、それに応じた委託料をキャンサースキャンに支払っている。

経産省は今回の事業で、垂直連携型のメリットを確認したとしている。事業規模の拡大、案件形成の事務負担と費用負担の効率化、単独ではSIB事業を実施できない市の参画が可能になる、などだ。

経産省が自治体に対してPFS/SIBを導入した案件形成の支援を開始したのは2016年度。今後もPFS/SIBの普及に向け、新たなモデルの創出と効果検証に取り組むという。