TRUST SMITH 1000台規模の無人搬送カート群を制御する独自技術を開発
東大発AIベンチャーのTRUST SMITH(東京都文京区)は2022年9月27日、独立研究機関「Black Stone Algorithm Institute」を設立し、数台~1000台規模のAGV(Automated Guided Vehicle、無人・自動走行する台車)の最適制御を実現する独自の技術「PYUTHIA」の提供を開始したと発表した。同技術により、これまで困難だった数台~1000台規模のAGVの経路長の最適化が実現でき、大規模工場の場内物流の効率が最大1.5倍になる。
製造業・物流業では人口減少による労働力不足が深刻で、ロボットやAIによる自動化・効率化が求められている。その中で、AGVは施設内の物流の自動化を担う要となる。大規模工場の物流自動化には複数のAGVの協調動作が必要であり、これには高度な群制御アルゴリズムが必須となる。しかし、これまでのAGV群制御には「適切に協調指令が行えず、AGV同士の経路が衝突してしまう」「制御できる台数に制約がある」「経路長を最小化できず、AGVに遠回りをさせてしまう」などの課題があった。
「PYUTHIA」には、これらの課題を解決する3つの特長がある。1つは、時空間上での高度な探索手法を用いることで、従来の群制御技術と比べて大幅に経路長を削減し、効率が1.5倍に向上すること。2つ目は、圧倒的な搬送効率の実現により、従来必要だったAGVの台数を大きく削減し、それにより、AGVの導入時の初期費用を抑え、より安全に多くの現場へのAGV導入が可能となること。3つ目は、従来技術のような予期しない遠回りが生じないため、正確なAGVの到着時刻を把握可能なことだ。これらにより、結果として現場のオペレーション全体の最適化を図ることができる。