インドで復活を遂げる雑穀、栄養豊富でオンラインでは米や麦より高額取引も
雑穀は丈夫で干ばつに強く、栄養価も高いが、1960年代に畑から姿を消していた。しかしインドでは今、雑穀を復興させる取り組みが進められている。(※本記事は『reason to be cheerful』に2024年11月11日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
近年、インド全土の農家は、気候変動の過酷な影響から生計を守るため、(文字通り)穀物栽培という慣習に逆らって雑穀の栽培に力を入れている。
雑穀という言葉は、栄養価が高い古代穀物(イネ科植物の小さな種子)を指す。これらは耐久性が高く、干ばつにも強い特性を持つことで知られている。米や小麦といったほかの多くの作物に比べて、はるかに少ない水しか必要としない。ソルガム、コド、パールミレット(トウジンビエ)、フィンガーミレット(シコクビエ)などの雑穀は、何千年もの間、インドを含むアジアやアフリカの多くの地域で主食とされてきた。
しかし時代とともに、その地位は失われていった。
1960年代、インド政府は楽観的な(しかし誤った)政策決定により、米や小麦といった高収量穀物を積極的に推進した、農薬や化学肥料の定期的な使用も添えて。緑の革命(Green Revolution)として知られるこの社会プロジェクトは、独立間もない国で農作物の生産を急増させることで、飢餓と貧困を解消しようとするものであった。
ところがこの取り組みの結果、雑穀を含む多くの在来作物が畑から姿を消し、手軽に簡単に収穫できる収益性の高い作物に取って代わられることになった。その代わり農業の生物多様性が、時間の経過とともに失われていった。(また、北インドでの近年の農民抗議活動が示すように、社会的・経済的不平等をもたらした。)一世代の間に、雑穀は文化的に受け入れられないとみなされ、貧しい人々の食べ物と軽んじられ、農村部の住民や体力仕事をする人々だけが食べるものになった。
しかし近年、インド全土において雑穀の栽培と消費が、政府主導で広範囲に奨励されている。この取り組みは昨年、国連が2023年を「国際雑穀年」と宣言したことでピークを迎えた。この宣言の目的は、雑穀栽培の持続可能性と栄養面での優位性についての意識を高めることにある。
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