文化庁文化審議会  華道、日本酒醸造、京料理を重要無形文化財に、保持者3人を答申

文化庁の文化審議会は、華道の「立花(りっか)」、日本酒の「吟醸造り」、「京料理(会席)」の3件を重要無形文化財に新たに指定し、その保持者(人間国宝)として池坊専永氏、農口尚彦氏、髙橋英一氏を認定するよう、文部科学大臣に答申した。2026年10月16日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経たもの。いずれも「生活文化の部」での指定・認定で、3分野とも今回が初めて。

3分野は、いずれも登録無形文化財の制度を通じた継承の取組みが進められてきた分野でもある。華道は「華道」、酒造りは「伝統的酒造り」、料理は「京料理」がそれぞれ登録無形文化財となっており、今回保持者となる3氏はいずれもその保持団体に所属している。

立花は、室町時代に座敷飾りとして生けられた「たて花」から発展し、江戸時代前期に成立した華道の伝統的な様式。七つ道具と称される役枝を持ち、季節感を踏まえて選んだ花材を、捌く・切る・透かす・撓めるといった技法で整え、山や野、水辺などの自然を一瓶に表す。保持者に認定される池坊氏(93歳)は、華道家元池坊の四十五世家元。古典様式とその技法を正しく体得したうえで幅広い作風の立花を花展などで発表し、1977年に池坊中央研修学院を開設するなど後進の育成にも取り組んできた。

吟醸造りは、手間と原料を惜しまず投入し、味と香りを追求した吟醸酒を造るわざ。精米が酒質に深く関わることが見出され、近代以降の精米機の発達を経て確立した。保持者に認定される農口氏(93歳)は、能登杜氏の家に生まれ、70年以上にわたり酒造りに従事。28歳で杜氏に就き、現在は農口尚彦研究所で杜氏を務める。全国新酒鑑評会での金賞受賞は計26回に上り、1970年代後半以降の吟醸酒ブームを牽引した一人とされる。

京料理(会席)は、京都の気候風土や伝統行事、風俗慣習を献立に反映させ、京都ゆかりの美術工芸品を客室のしつらいに生かして客をもてなすわざ。江戸時代に形成された会席料理を、京都の寺社門前や街道沿いの茶屋などが独自に発展させてきた。保持者に認定される髙橋氏(87歳)は、京都の料理屋・瓢亭の代表取締役会長。出汁の材料を鰹節から鮪節に変えた取組みや、京都料理芽生会の会長として京野菜の保全活動に携わったことで知られ、料理雑誌での連載を通じて京料理のわざを広く公開し、日本料理全体の底上げにも貢献してきた。

文化審議会は2025年10月、重要無形文化財の制度を見直し、生活文化を認定対象に追加するよう答申していた。国は人間国宝1人あたり年200万円を助成している。

※保持者の年齢は2026年10月16日現在。