岸田首相 「新しい資本主義の主役は地方」と施政方針演説

岸田文雄内閣総理大臣は、2022年1月17日、衆議院本会議で施政方針演説を行った。新型コロナウイルスのオミクロン型への対応では、当面2月末まで、海外からの流入を防ぐ現在の水際対策を維持する。ワクチン接種は前倒しし、3月以降は高齢者の摂取は6か月間隔で、一般向け接種も余力のある自治体は6か月、少なくとも7か月間隔で実施していく。

「新しい資本主義」については、行き過ぎた市場依存が生み出す様々な弊害を是正するしくみを、「成長戦略」と「分配戦略」の両面から資本主義の中に埋め込むという。そして、成長戦略の第1の柱は「デジタルを活用した地方の活性化」であるとした。例えば、ITインフラを整備し、企業版ふるさと納税のルールを明確化することで、企業の支援による地方のサテライトオフィス整備を進める。それにより、企業や個人の都市から地方への流れを加速させる。イノベーションの推進では、2022年をスタートアップ創出元年とし、5カ年計画を設定して大規模なスタートアップの創出に取り組む。

第2の柱である「人への投資」では、スキル向上・再教育を通じた人的資源の充実を図る。人的投資は企業の持続的な価値創造の基盤であるということを、株主が納得できるようにするため、2022年中に非財務情報の開示ルールを策定する。第3の柱「中間層の維持」では、子育て・若者世代に焦点を当て、世帯所得の引き上げ、男女の賃金格差の是正に向けた企業の開示ルールの見直しなどを挙げた。このような「新しい資本主義」のグランドデザインおよび実行計画は、2022年春に取りまとめる予定だ。

脱炭素化、気候変動の抑制に向けた取組では、温室効果ガス排出を2050年には実質ゼロとすることを目指した活動を引き続き進めていく。さらに、アジアの脱炭素化へ向け、日本の水素やアンモニア関連の技術、制度、ノウハウで貢献する方針も示した。「アジア・ゼロエミッション共同体」を、有志国と力を合わせて作ることを目指すという。

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