プラごみ問題、企業の動きは? 世界の動きからその先のヒントを探る

(※本記事は「グリーンズ」に2024年8月27日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

環境保全団体WWFジャパンの「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」の様子

「使い捨てプラスチック海洋ゴミの問題について」と聞くと、何を思うでしょうか?ペットボトルは買わないとか、浜辺のゴミ拾いをしている人もいれば、分別はしているという人など、千差万別の反応かもしれません。

使い捨てプラスチックを減らさないといけないという認識は広がりを見せる一方で、それに対応する実際の動きはどうなっているのか。気になっているのは私だけでないはずです。そこで世界を見渡してみると、プラスチックフリーな経済社会にシフトしようとする動きも進んでいます。

まずは少し振り返ってみましょう。2018年、主要7ヶ国首脳会議(G7)にて「海洋プラスチック憲章」が採択されました。ここで日本とアメリカを除く5カ国が署名したことにより、2030年までに全てのプラスチック製品がリユース、リサイクル、または回収可能となることを目指して、各政府と産業界の連携が始まりました。具体的には、環境配慮された代替素材の開発や、レジ袋をはじめとする使い捨てプラスチック製品の使用制限などです。

2019年5月、G20大阪サミットに先立って、日本政府は「プラスチック資源循環戦略」、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定しました。これをきっかけに日本でも「プラスチックフリー」という概念が広がり始めます。カフェや飲食店のストローが紙製になったり、使い捨てカトラリー類が代替素材になったりという実例も増えていきました。2020年7月からはレジ袋が有料化、2022年4月からは新しい法律「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、通称「プラ新法」が施行されます。このことは以前、こちらの記事でもご紹介しました。

2030年まであと6年足らず。本当に目標達成できるのか

こうして2024年の今、エコバッグやマイボトルの使用も一般的に。でもこのままで本当に、2030年までの目標を達成できるのでしょうか。もっと言えば、「プラスチック汚染」とも言われることがある、使い捨てプラスチックの環境負荷は、本当に解決できるのでしょうか。

すでに多くの人が個々人にできることを実践しているからこそ、本当に問題解決に向かっているのかどうか、疑問が拭えずにいます。

そこで、市販品の容器包装や使い捨てプラスチックの対策に努めるイニシアティブ(※目標に向けて実行される計画)について、最新の傾向を聞いてきました。

サーキュラーエコノミーの概念図
写真:WWFウェブサイトより引用

循環型の経済社会への第一歩は、可能な限り減らすことから

足を運んだ先は、環境保全団体WWFジャパンの呼びかけによって始まった枠組み「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」のセミナーです。プラスチック問題を解決するためには、立場の垣根を超えた協力体制が大前提。この枠組みでは、NGO、消費者、企業、官庁など、さまざまな立場からの意見を同じテーブルに乗せることで、プラスチック問題を私たちみんなに共通した問題として解決していくことをめざしています。

将来的にプラスチック製品が循環型(サーキュラー)となるために、まず優先的に取り組むべき課題は、容器包装と、使い捨てプラスチック製品でした。

WWFジャパン プラスチック政策マネージャー・三沢行弘さん「現在、海洋流出しているプラスチックごみの7割が、何かしらの容器や包装、もしくは使い捨てプラスチックです。それならば、まずフォーカスすべきは容器包装・使い捨てプラスチックの解決であると考えています。」

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