京急 空港線使用電力を再エネに JAL・羽田空港と合同発表会

京浜急行電鉄と日本航空、日本空港ビルディングは2021年8月2日、合同発表会を開き、羽田空港で各社が取り組むカーボンニュートラル実現への取り組みを説明した。

京急電鉄は、京急蒲田駅と羽田空港第1・第2ターミナル駅を結ぶ空港線を対象路線に、鉄道運転用電力量相当を2021年8月から再生可能エネルギー由来に置き換える。電力の調達には「非化石証書」を活用する。今回の取り組みで年間CO2換算約3457トン、京急線全線の約4.3%のCO2削減となる見込みだ。京急はこれまでも燃料電池バスなど省エネルギーへの取り組みを進めてきたが、鉄道に使用する電力を再生可能エネルギーに置き換えるのは今回が初めてだ。

京急は2035年までの総合経営計画で、羽田エリアを品川・横浜とともに「成長トライアルゾーン」のひとつに位置づけている。京急の原田社長は、「羽田は日本全国・世界と交流するための重要な拠点」とし、羽田空港で一緒に事業を担う日本航空、日本空港ビルディングとともに、共同での発表会に至った。

CO2削減のためのその他の手段について、原田社長は「電力そのものが変わっていくことはもちろん、鉄道やバスなど公共交通機関へのモーダルシフトを起こしていくことが重要だ」と主張した。

京急は、2021年5月に公表した京急グループ総合経営計画で、長期経営戦略の3つ柱の1つとして「コーポレートサスティナブル戦略」を掲げている。今回の取り組みは、その一環として実施する。京急の原田一之社長は、「当社の鉄道・バス事業そのものが地域と連携するものであり、ESGに沿った事業だ。ESG経営は、我々にとってプラスアルファではない。事業そのものであり、経営の基本だ」と話す。

日本航空も今年5月に策定した中期経営計画で、2030年までビジョンの2つの柱に「安心・安全」と「サステナビリティ」を掲げている。清水副社長は、航空機本体の省燃費化のほか、代替航空燃料・SAF(Sustainable Aviation Fuel)の積極的な活用により、2050年にはCO2排出量実質ゼロを目指すことを説明した。 

羽田空港のターミナルビルを運営する日本空港ビルディングは、ターミナルと空港ビルを運営する。同社は放射冷却素材を活用したRadi-Cool製品もターミナルに導入している。横田社長は「当社が代理店として他の空港への普及も積極的に進める」と語り、関係企業と協力して2050年の脱炭素社会を目指す。

3社が合同で掲げる目標や施策は現時点ではないものの、今後も共同で発信していくとともに、具体的な取り組みも進めていく。

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8月2日の合同記者発表の模様。左から日本航空の清水副社長、京浜急行電鉄の原田一之社長、日本空港ビルディングの横田社長。